20・12面体ボールを作ろう! 準備作業
2021/04/03(土) 東芝未来科学館にて【リカタンず】科学実験工房『20・12面体ボールを作ろう!』をするため、その材料準備をしたんですが、これがとっても大変な作業でしたので、またやるときのために、どうやったかを記録しておきます。
▼20・12面体ボールのパーツ
3つの穴をあけたPPバンド 30枚と、トジック 30個で作る。
イベント参加者は40人。それにアシスタント用と予備を加えて、45人分の材料を用意する。
PPバンドの枚数は、30枚/人×45人=1,350枚 ※つまり、1,350回ハサミでチョキチョキ切る💦
PPバンドの長さは、95mm/枚×1,350枚=128.25m ※PPバンドは100m巻で売っているので、1巻では足りない💧
PPバンドへの穴あけは、3穴/枚×1,350枚=4,050穴 ※2穴パンチで穴をあけると、両端の穴をあけて、真ん中の穴はPPバンドをずらしてあけるので、1枚につき2回穴あけパンチする。2回穴あけ/枚×1,350枚=2,700回穴穴あけパンチ💦
…という、ちょっと眩暈しそうな作業量なんですよ。でも、これで子供たちが楽しく20・12面体ボールを作ることができるから、頑張っちゃうよ😊
▼PPバンドの巻き癖をとる
PPバンドは普通100m巻きで売られていて、
巻から取り出したPPバンドはクルクルとカールしています。
この巻き癖をとるために、逆巻にします。
PPバンドを10数m取り出して、巻癖をとるために逆巻にします。
100m一気に逆巻にはできませんから、10数m取り出しては逆巻に。また取り出しては逆巻にします。
逆巻にしたPPバンドが解けないようにビニールテープでとめ、この状態で数時間~一晩寝かせます。
▼PPバンドを切る
PPバンドを所定の長さに切るには、(できれば色違いの)定規代わりのPPバンドを用意し、PPバンドの端を合わせ、もう一方の端にハサミの刃をあてて切ります。
逆巻にして巻き癖をとっても、まだ緩く巻き癖は残ってますから、これを切っていると、切るたびにPPバンドの端があっちにピョーンと跳ねて、それを捕まえて、定規代わりのPPバンドを合わせて切る…という作業を繰り返すのはとっても効率悪い。
そこで、こういう ↓ PPバンド送り出し装置?を用意し…
PPバンドを引っ張り出す・合わせる・切る、引っ張り出す・合わせる・切る…と連続してできるようにしてます。
そして、切ったPPバンドが約千枚!
黄色いPPバンドはできあがりイメージ。100m巻のPPバンドを95mmに切ると、約千枚。※計算上は 1,052枚だが、ロスとかミスとかあるから、約千枚。
▼PPバンドに穴をあける(両端の2穴)
2穴パンチで穴をあけようとしたのだが…
PPバンドが95㎜なので、2穴パンチのなかにピッタリ! というか、これではPPバンドのセッティングが大変。2穴パンチも小さいものなので、これで紙より断然分厚いPPバンドに穴あけするのはかなりの力を要す。これで千枚穴あけしたら、すごく効率悪い💦
仕方ないから、MOVE FORMを作るときに使う1穴パンチと穴あけ治具を取り出し、
これで両端の穴をあけた。が、途中時々穴の間隔が80mmになってるかチェックすると… 2mmも短いのが多数ある。±1mmなら許容誤差だが、2mmでは不良品だ💧 なんでこうなったか?
PPバンドをチョキチョキ切ってると、だんだん調子に乗ってきて、たまに定規にしているPPバンドの方も切ってしまうことがある。ちょっと(1mm未満)だから、まぁいいか😅 とそのままチョキチョキしてたから、定規が1mm短いのと、切るときの誤差±1mmが重なると、2mmの誤差になる。それだけ誤差があっても、2穴パンチで穴あけすれば穴の間隔は正確に80㎜になるのだが、1穴パンチで両端から穴あけしたから、2㎜の誤差がそのまま穴の間隔の誤差になった。それと、穴あけも調子にのってパチパチやってると時々ミスる。
不良品を仕訳けたら…
左側:良品 約900枚、右側:不良品 約100枚、右上:約2000回パンチしたパンチくず
不良品率 10%💧
▼PPバンドの真ん中の穴をあける
これは、PPバンドの一端の穴を2穴パンチのセンターマークに合わせれば、真ん中に穴があく。(良品)約900回パンチ
▼PPバンドを30枚ずつ束ねる
1セット30枚なので、15枚ずつ↓このように向い合せ、輪ゴムでとめる。
PPバンドを逆巻にして巻き癖をとっても巻き癖は残っているので、こうして1ヵ月ほど寝かせておけば巻き癖がかなりとれる。だから、この作業は実施日の1ヵ月前にやっておくとよい。
↓900本のPPバンドを30枚ずつ束ねて、30セットできました~😃
100m巻のPPバンドから計算上は37セットとれるんですが、ファーストロットでは歩留まり 81%でした。
必要な45セットに対し、30セットしかできてませんから、ファーストロットの問題点を「カイゼン」し、セカンドロットで不良品率低減、歩留まり向上を目指しましょう。
▼問題点と対策
●PPバンドを1枚分の長さ=90mmに切ってしまったために、2穴パンチでの穴あけができなかった。
→PPバンドを2枚分の長さ=180mmに切り、2穴パンチでの穴あけ後、半分に切る。
2枚分の長さにすると、2穴パンチにセットするとき↓こうなるので
以下の作業がスムーズにできる。
・PPバンドを2穴パンチに滑り込ませる
・穴あけする
・端の穴をセンターマークまでスライドし、真ん中の穴をあける
・PPバンドを取り出し、180度回転させて、残る半分の穴あけをする
●小さな2穴パンチではPPバンドに穴をあけるのに力がいる。疲れる、腕が痛む😣
PPバンドは厚さ0.6mmほどで、普通紙7枚ぐらいで0.6mm厚だった。
小さな2穴パンチは普通紙10枚が上限。2穴パンチにも負荷かかるから、何千回もの使用に耐えられるか?
→もっと大きな2穴パンチを使用する。→購入した。
PPバンドの穴あけが格段に楽になった。
量産時の効率アップのためには設備投資もしないとね。※こんなのは「設備投資」とは言わず「備品の購入」なんでしょうけど😅
●2穴パンチを変えたので、穴あけ位置合わせ治具も作り直さねばならない。
→まぁ、それはやらなきゃね。治具の良し悪しが品質を左右するからね。
試作時・ファーストロットで使った→穴あけ位置合わせ治具
↓セカンドロット用に作った治具
2穴パンチの穴あけ可能枚数が10枚→35枚になった分、治具の厚さも約3.5倍
この治具を作るのに3時間もかかってしまった。内、2時間は納得いくまで微調整してた😅
●2枚分のPPバンドを半分に切るとき、穴の間を目分量で切ってもそんなにズレないだろうと思ったが、簡単に±1mmぐらいズレる。
→ガイドとなる色違いのPPバンドを用意し、穴位置を合わせて切れば、ズレは小さいし、切るのも楽。
以上の「カイゼン」の結果…
セカンドロットでは33セットでき、歩留まり 89% と 8ポイントアップ🙂
品質向上もしてまして、
実はファーストロットの30枚束ねた穴を見ると…
かろうじて3つの穴は通っているんですが、かなりズレがあるため30枚重ねて見たときの穴が狭い💧
一方、セカンドロットの30本束ねた穴は…
丸い! つまり、3つの穴位置がかなり合っている(^^)v
※ファーストロットでは穴位置に2mmぐらいのズレもあるんですが、組み立てるうえではノープロブレム😅
ですが、やっぱ自分が納得できる品質のものを作らなくちゃね。
この作業に1週間ぐらいかかったかな~ 大変でしたけど、問題点にぶつかり、その対策を考え、それが良い結果を生むと「やったね!」と楽しくなるので、手間のかかる長時間作業も苦にはならない私です😊
▼対策できなかった問題点がありまして…
PPバンドに穴あけすると、端が割れることがあるんです。
この割れはトジックでとめると上下から押さえられるので、割れ目から外れることはないので大丈夫。
この割れを回避するには、PPバンドを切る前に穴あけする!という対策になるが、手作業での域を超える生産設備が必要になりそうなので、保留です😅
さて、ファーストロット:30セット、セカンドロット:33セットで、計63セットできましたが、まだ準備作業は残ってます。
20・12面体ボールの1セットの材料は、PPバンド:30枚とトジック:30個です。
トジックを30個+予備1個=31個ずつ袋詰めします。
できました~🎉🎉
ここまで、とっても大変な作業だったので、45セット分の材料を並べて達成感をかみしめる…😊
さて、5/1(土)東芝未来科学館にて、もう一度『20・12面体ボールを作ろう』が開催されます。
だから、もう一度この作業を行いました。ファーストロット → セカンドロット でスキルアップしてますから、
サードロットでは…
↑ これは2枚分のPPバンドに穴あけを済ませた状態。このあと半分に切るんですが、この時点で34セット分とれてます。
歩留まり 81% → 89% → 92% とアップしてます(^o^)v
ところで、今回は準備作業にもう一つの工程が増えます。
それは、4/3(土)実施時の『振り返り』での問題点の一つ…
PPバンドの角切りです。
(案1) 事前にPPバンドの角を切っておく。
(案2) PPバンドの角切りはしない!
どっちにしようか悩んだ末、事前にPPバンドの角を切っておくことにした。
5,400回(4回×30枚×45セット)ハサミでチョキチョキしたんですよ😅
1時間で8セット切れたので、45セットで約6時間…チョキチョキ…チョキチョキ…したんです。はぁ~疲れた。
でも、子供たちに切らせたら、この倍の時間がかかったので、12時間を6時間に短縮したともいえる。これにより90分の講座の中で工作に要する時間が短縮され、私が最もしたい「科学的なお話」ができる!←ここが重要😊
上の角切りの画像は4/3(土)に実施したときに「こういう風に切ってね~」と示したもの。いわゆる「面取り」加工なので、面取りだから45°にしてた。でも何のためにここを切るかというと…
ここを出っ張らないようにしたい。この出っ張りの三角形は45°じゃなくて、60°30°なんだよね。
だから ↓ こんな風に切った方がいい。
そして、PPバンドの四隅を一回りして 60°30°60°30°と切っていると、面倒くさい💧
何度もチョキチョキ切っていて「面倒くさ~」が溜まってくると「もっと効率のいい切り方はないものか?」と考え出す。
あぁ!PPバンドの四隅を一回りするように回転させるんじゃなくて、PPバンドをひっくり返せばいいんだ!
こうすると、ハサミの位置を動かさず、四隅とも同じ切り方になる! これでPPバンドの角切りがかなりスムーズになった。(チョキチョキしていてイラつかない😅)
5,400回チョキチョキした切りくず~
こんなにいっぱいあるよ!
アシスタントの皆さんに、こんなにチョキチョキしたんだよ~ と見せようとビニール袋に入れたら…
『さんざん苦労してこれっぱかしさ』😅
さぁやっと、5/1(土)実施分の45セットができました🎉🎉😃
20・12面体ボールのPPバンドだけではなく、トジックと、PPバンドのセパタクローボール用のPPバンドと目玉クリップも一緒に並べて見ます。
これらをパッキングすると…
意外とコンパクトにおさまった。これなら事前に送付せず、当日リュックに入れて持ってける🙂
はい、材料準備終了です。お疲れさま~🍺
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