ネオジム磁石はすごいゾ!【ガウス加速器】
ガウス加速器とは、レールの上にネオジム磁石を置いて、それに鉄球を4個ほどくっつけて、
反対側から1個の鉄球を そ~っと転がすと…
先頭の鉄球が目にもとまらぬ速さで飛び出したーーぁ!😲
え! なんで? どうして?
という実験なのですが、動画で見なけりゃその速さ・面白さが伝わらないので、
↓動画をご覧ください。
▼ガウス加速器(Gauss Accelerator) 0:30~解説
以下、ガウス加速器の なんで? どうして? の解説です。
▼こういうの見たことある?
5個の鉄球が糸でつるされていて、端の鉄球を1個つまんで指を離すと、4個並んだ鉄球の反対側の1個が飛び出す。鉄球は振り子になっているから、飛び出した鉄球は戻って来て4個の鉄球の列をたたく。するとまたその反対側の1個の鉄球が飛び出し… この動きを カチカチカチカチ・・・と繰り返す。
「カチカチボール」とも呼ばれるこの科学おもちゃは、
「ニュートンのゆりかご」という名前があります。
鉄球の列に1個の鉄球をぶつけると、反対側から1個の鉄球が同じ速度で飛び出す。というのが『運動量保存の法則』を示すのに適しているので、ニュートンにちなんで『ニュートンのゆりかご Newton's cradle』です。でも、運動量保存の法則 - Wikipedia によりますと…『現在の形の運動量とその保存則を導いたのはホイヘンスである』とのこと😅
ニュートンのゆりかごはカチカチしていると雑念が払われる癒し系インテリアグッズでもあるのですが、小さなものはカチカチが数秒間しか続きません💧 もっと長い間カチカチするのを見たい場合は、振り子の長いのがお薦めです。
Wikipediaには『世界最大のニュートンのゆりかご』について書かれており、それを探してみたら…
↓これのようです。
GIANT Newton's Cradle with Bowling Balls
↓こんなのも見つけた。女の子がボーリングのボールでニュートンのゆりかごを作ってるよ~!
Super Sized Science
ボーリングボールのカチカチボールはすぐにカチカチが終わっちゃいますね。それは、ボーリングボールは(鉄球より)柔らかいからです。
※衝突 - Wikipediaより…『反発係数 e = 1であれば運動エネルギーが保存される完全弾性衝突であるといわれる。完全弾性衝突ではない場合、運動エネルギーは部分的に熱エネルギーなどに変換され、散逸する。』カチカチという音は、運動エネルギーが散逸している一部なんですね~
↓ほぉ!こんな動きもするのか!
Amazing Demonstration Of A Giant Newton's Cradle!
↑このニュートンのゆりかごは、いろいろ見た中では最高の出来ですね。
注目してほしいのは、鉄球と鉄球が接しておらず、僅かな隙間があるってこと。
ニュートンのゆりかごの球の間に隙間が必要な理由は↓
ニュートンのゆりかごの秘密を証明しました【Newton's cradle】【実験】 / 米村でんじろう[公式]/science experiments
あ~すみません。「ガウス加速器」の話がだいぶ脇道に逸れてますね💧
▼ガウス加速器実験
ガウス加速器の実験をするときは、まずはレールの上に鉄球を並べて、転がして「運動量保存の法則」を確認しておきましょう。
その後で、ネオジム磁石に鉄球をくっつけて並べ、反対側から1個の鉄球を そ~っと転がすと…
「運動量保存の法則」破れたり!って、ちょっと思っちゃったりするけど、そんなことはありません。
この実験では勢いよく飛び出した鉄球の方に目が行ってしまいますが、飛び出さなかった方も観察しましょう。
ネオジム磁石の位置に印をつけ、1個の鉄球をそーっと転がし、反対側の先頭の1個が飛び出していった~
一方…
残ったネオジム磁石と鉄球は後ろに下がっています。
なんとなく、飛び出した1個と、後ろに下がった5個が釣り合ってる気がするね?
そこで、ネオジム磁石にくっつけておく鉄球の数を4個→3個→2個→1個と減らしていくと…
なんか規則性が見えますね。
そして、ネオジム磁石にくっつけた鉄球が1個の場合は飛び出さないのです!
それはなぜ?
▼ガウス加速器のスピード計測
もっとガウス加速器のことを探るために、飛び出す鉄球のスピードを測ってみましょう。
BeeSPIvでスピードを測ってみました。
※BeeSPI(ビースピ)の「ビー」って、ビー玉?
「BeeSPI ビー玉」で検索すると…
⇒理科とか苦手で ビースピの赤外線を見てみよう によりますと…『ビーダマンおもちゃが発射したビー玉やチョロQの速度測定用として売られていたもの』だそうです。
ネオジム磁石にくっつけた鉄球の数を1個~7個と変えて、飛び出した鉄球の速度を測った結果…
鉄球の数が増えると速度も上がっていくのですが、鉄球の数が6個以上で頭打ち。
鉄球の数が7個ぐらいになると、もはや先頭の鉄球は磁石に引き寄せられていませんでした。
この結果から考えられるガウス加速器の仕組みは…
▼ガウス加速器の仕組み ↓たぶんこんな感じ
Wikipediaに「ガウス加速器」ありました。
やはり「磁場のポテンシャルエネルギー」で説明してますね。
ところで『3個以上の鉄球を順に並べたものをレール上に並べ、』と書かれてますね。でも、これまで見てきたように「2個以上の鉄球」なら飛び出します。※2020/11/14 Wikipediaの記載を「2個以上の鉄球」に変更しておきました。
▼もっと加速するには?
2段加速、3段加速…すれば もっと早くなります。
これは、ロケットが2段式、3段式なのと似てますね。
では、段数を増やせばいくらでも早くなる?
映画ガリレオ『容疑者Xの献身』の冒頭にガウス加速器で沖に浮かぶクルーザを破壊するシーンが出てきたのだが、これを見たとき「そんなことできないだろ~! 監修の〇〇先生 ダメじゃん💧」っと心の中でツッコミを入れてた私😅
ガウス加速器を何段も連ねて加速すると、加速した鉄球でネオジム磁石が割れます。磁石は材料を高温で焼き固めて作る(これを焼結という)ので、まぁ焼き物と同じで割れます。(私はネオジム磁石が割れるまでの多段加速はしたことないけど、そのうち実験して割ってみようかな。ネオジム磁石も100均で入手しやすくなってるし)
考えるカラスの『蒼井優の考える練習』で「磁石と鉄の玉」=ガウス加速器 やってたんですね!
⇒NHK for School 考えるカラス~科学の考え方~ #19
※関連記事
2004/08/29 新町文化センターマックカーニバル「ガウス加速器」
あ~そうだ。このとき作ったガウス加速器の実験結果記入シートどこやったっけ?
見つからないから(2段、3段加速パターンも加えて)作り直しました。夏休みの自由研究にどうぞ。
2012/04/01 四色問題の証明は美しくない? ←映画 ガリレオ『容疑者Xの献身』の話
2015/08/02 ネオジム磁石で4つの実験が出来るキット…博物ふぇすてぃばる!2015
2018/04/26 RikaTan 2018年6月号…観察・実験・ものづくり『ネオジム磁石はすごいゾ!』
2020/10/31 ネオジム磁石はすごいゾ!…発見工房クリエイト(オンライン)実験教室
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