高い木の葉まで水を運ぶしくみ… 浸透圧(根圧、蒸散)と凝集力
早朝、野川を散策していて、この葉っぱに気づいた。
お~! 葉っぱの表面に毛が生えてるね~
何ていう植物?
あ! それより、葉っぱの上に~もわもわ~っと朝日に揺らめく霧が見える~(*゚o゚*)
ほら ↓この水色の点線で囲ったとこ!
これってさ~『蒸散』によって放出された水蒸気が霧になって揺らいでるの?
そうだ、蒸散といえば、この前『10メートルのストローでジュースを飲めるか?(大)実験!』を書いたとき…
『物理または地学・気象を学んで「水を吸い上げられる高さは、10メートルまで」ということを知っていると、樹高100メートルの巨樹がこずえの先端まで水をくみ上げられるのは不思議~!』なんですが、そのしくみはどうなってたっけ?
そのしくみは「驚異の植物たち」Newton2013年10月号に『世界最大の生物がポンプなしで水をくみ上げるしくみ』の説明があって、その感想をブログ記事に書いているのだが、そのしくみは?
『で、その答えは…Newton2013年10月号をお読みください。』って、使えね~💧(だって、それを書いちゃったらネタバレ・パクリになっちゃうからね~)
ん~、でも、そのしくみを人に説明できる程度に理解しておきたいし、2013年に読んだ記事の内容なんて覚えてないから、検索・検索・・・
以下の記事がたいへん参考になりました。
⇒樹が水を運ぶしくみ|Mr.さわぐるみ の 森のコラム|yamaiki.com
⇒植物が水を吸い上げる仕組みとは?|100m以上の木でも水が上がる|トレンドピックアップ
⇒植物の水が葉までとどくしくみ|みんなのひろば|日本植物生理学会
要点をまとめると…
・植物が根から吸収した水を上昇させている力は、根圧、蒸散、凝集力
▼根圧
・根毛は、細胞内に糖分、ナトリウム、カリウムなどの物質を多く取り込み、土壌よりも浸透圧が高くなっているため、土壌から根に水が流れ込む。これが根圧
・多くの植物で、根圧は0.1~0.3MPaであることが測定されている。つまり根は、10~30mまで水柱を押し上げる力をもっている →Pa(パスカル)は圧力の単位で、MPa(メガパスカル)をヘクトパスカルに換算すると、1000~3000ヘクトパスカル。1気圧はだいたい1000パスカルだから、根圧は1~3気圧。1気圧で10mまで水を押し上げるから、植物の根圧は10~30mまで水を押し上げる力をもっている ←意外と大きな力だね。浸透圧!
▼蒸散
・蒸散によって葉の水分が失われると、葉の細胞液の濃度は枝や幹よりも高くなる。そのため、濃度を下げようとする浸透圧が働いて枝や幹から水を引っ張りあげる。←蒸散も浸透圧!
▼凝集力
・水玉が丸い状態で転がったり、コップの水面が盛り上がってこぼれない表面張力は、凝集力
・水の強い凝集力と、導管の壁が水と非常になじみやすい組成をもっていることによって、高い樹木でも根から頂上までの導管内では、気泡を生じることなく水柱がつながり、吸い上げることができる。←気泡が生じると水柱が途切れ凝集力が働かなくなる。→切り花の水切り・水揚げは、茎の切断面から先端まで水柱が途切れることなく凝集力を保つため
ということで「高い木の葉まで水を運ぶしくみ」は、浸透圧と凝集力という2つの物理的な力によるものだったのです。
植物の根、茎(道管)、葉(気孔)は、これらの力をうまく使うように進化してきたんですね~(*゚o゚*)
ところで、上記のまとめを理解するには浸透圧と凝集力を理解しておく必要がありますね(^^;
凝集力はなんとなく分かるけど、
浸透圧は?
浸透圧 - Wikipedia は普通の人にやさしくない書き方をしているので、こちらをどうぞ…
⇒樹が水を運ぶしくみ|Mr.さわぐるみ の 森のコラム|yamaiki.comの『脱線』
『凝集力の原因としては、静電引力・水素結合・ファンデルワールス力などがあげられる。』と出てきますが、水の凝集力はどれ? →静電気力だそうです。
⇒植物(木)は、どうやって水を高い所まで吸い上げる事ができるのですか?|みんなのひろば|日本植物生理学会
※最初の葉っぱの表面の毛ですが、みんなのひろば|日本植物生理学会に説明がありました。
⇒草本植物の産毛? の役割|みんなのひろば|日本植物生理学会
トライコーム(毛状突起)って言うんですね。
※関連記事
2020/08/19 植物のからだのしくみを知るには…NHK for Schoolがとっても分かりやすい
2020/07/18 10メートルのストローでジュースを飲めるか?(大)実験!
2013/09/10 「驚異の植物たち」Newton2013年10月号は面白かった~
2013/07/13 銀の匙8…チーズ作りで「浸透圧」
※Mr.さわぐるみ 森のコラム|yamaiki.com に興味深いことが書いてありました。
『熱帯材の再造林コストは、日本よりもさらに高いのでは?
(今のところは労賃が安いのと、天然林を伐っているから儲かっているだけ)』あ~!そうなんだ。
それと「蒸散」の話も…
『森林から蒸発散で失われる水の量は、地面や幹からの蒸発に加え、樹木が根から吸い上げた水分の蒸散も加わるため、実は裸地よりも多いのです(脱線)。』へ~!そうなんだ。
このコラム、(脱線)も読むとさらに面白いです(^o^;
※2021/06/25追記
毛細管現象では高いところまで水を吸い上げられないけど、凝集力ならできる! ということを、非常にわかりやすく示した実験動画を見つけました。
蒸散実験(植物は、なぜ、重力にさからって、水を吸い上げることができるのか)|morinokuma7
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