T4ファージのカプシドはどう見ても「正20面体」には見えないが、多くのページで「正20面体」と書いてる謎
新型コロナウイルスで STAY HOME な日々、ウイルスを検索する人も多いでしょうから、このブログの『ウイルスにも正20面体』記事へのアクセスも多い。
多くの人に読まれる記事だから、何か間違ったこと書いてないよね? と読み直す。
あ~この記事、追記、追記…で読みづらくなってるね(^^;
まぁ、それはそのままでいいとして、
私の↓この疑問…
※ところで、「T4ファージ」で画像検索すると、縦に長い20面体のカプシドの画像ばかりが出てくるのですが、なんで正20面体じゃなくて、縦に長いの? どう見ても「正20面体」には見えないんですけど、多くのページで「正20面体」と書いてる(´Д`)
縦長の20面体カプシドを自己組織化で構成するのは難しいだろ~!と思うのですが。。。
STAY HOME してるし、これをもう一度調べてみよう。
まずは復習
「ファージ」とは…『ファージ (Phage) は細菌に感染するウイルスの総称。正式にはバクテリオファージと呼ばれる。』by Wikipedia
「Phage」の意味…「食い[飲み]尽くすもの」「破壊するもの」by Weblio英和辞書
※そういえば白血球の一種に「マクロファージ(Macrophage)」ってありましたけど、あれは「大食い」という意味だったのね。あ、Macrophage は「大食細胞」とも言われててましたね。おっと、話がそれた…
「T4ファージ」で画像検索すると ↓こういう画像が出てくる。
T4ファージの頭部(カプシド)が20面体の様な形状をしているけど、「正20面体」ではない。
でも多くのページで「正20面体」と書いてる。ファージ - Wikipediaには『多くの種は正二十面体様のカプシドを頭部としてそこから尾が伸びている。』とあり、「正二十面体様」という表現はさすが(^^?ですね。
何でT4ファージのカプシドは正20面体じゃないんだ?
そこんとこ説明したページはないものか?
「T4ファージ 正20面体」で検索すると…
⇒バクテリオファージがあの形をしている理由|バクテリオファージ.jp
お!それを説明してるの?
・・・
ダメだ。縦長20面体のバクテリオファージの画像のあとに「正二十面体の頭を持っている」と言ってる。
ん~よくよく読めば「正二十面体」だったり「二十面体」だったり、表記が揺れてます。
『なぜ頭が二十面体なの?』で5種類の正多面体を持ち出して「なぜ?」の説明してるのはいいと思うんですが、それなら正二十面体のカプシドをもった他のウイルスで説明すればいいのに~
このサイト『バクテリオファージ.jp』というバクテリオファージに特化したサイトなのですが、誰が何のために作ったサイトなの? 『バクテリオファージとニキビ』とか『口腔内フローラ』とか… う~ん、何だかな~ って感じなので、他をあたろう。
でも、日本語のサイトでは見つからなかったから、そういう場合はワールドワイドに検索。
※ワールドワイドとか言っても英語で検索するだけですけどね(^^; でも英語のタイトルだとどれが目的のものか分からないので画像検索。画像なら英語読まなくても見つけられます(^^)v
「bacteriophage T4」で画像検索すると~
ありました!
⇒Molecular architecture of the prolate head of bacteriophage T4|PNAS
英語のページですから、タイトル「Molecular architecture of the prolate head of bacteriophage T4」を選択してGoogleで検索。
そして⇒このページを訳す
そこに出てきたタイトルの訳は…
『バクテリオファージT4の扁長頭部の分子構造』←探していたのはコレですよ!
「prolate head」を「扁長頭部」と訳してますね。
「prolate」って、長軸が回転軸となった(上下に長い)回転楕円体なんだ。
この論文の出典は PNAS(Proceedings of the National Academy of Sciences)=米国科学アカデミー紀要
この論文の『バクテリオファージT4頭部の構造』画像を引用させていただきます。
ん~T4ファージのカプシドはこんな構造で縦長の20面体になってたのか~
T4ファージの側面の三角形は二等辺三角形じゃないんですね。
T4ファージの構造をここまで子細に研究しているってのがスゴイ!
ところで、T4ファージのカプシドが正20面体ではなく縦に長い20面体なのはなぜ?
それは~(私の推測)
T4ファージのゲノムは、頭部(カプシド)のタンパク質をコードするだけでなく、尾部の鞘、脚、スパイク等のタンパク質もコードするため、ゲノムサイズが大きくなる。そのゲノムを格納するカプシドはそれに見合った大きさが必要だから、カプシドが縦長になった。でも、順序としては先にカプシドが縦長になったのでしょうね。すると、ゲノムに余計なものを収められるようになる。あれやこれや余計なものを試行錯誤している中で、たまたま尾部の構造ができた。これが細菌に感染するとき有利だった。そして、尾部をもつファージが進化のレースに生き残った。
※ウイルスは生きているのか? ウイルスは生物か? は難しい問題ですけどね。
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コメント
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私も同様のウヤムヤずっと感じていたところでした。
ここにたどり着き、あなた様の的確な調査記事に感謝いたします。
微細世界でのバクテリオファージのような機能美には理由なく惚れ惚れします。
私的なことですが、1年ほど前から「ネコ見酒」の名前でツイッター始めてみました。
そのプロフィールの顔写真は「バクテリオファージ」にしてます。大好きですから。
ありがとうございました。
投稿: イチノヘ アキヒコ | 2021年12月 9日 (木) 16時10分
イチノヘ アキヒコ さん
ほ~ この記事が役に立ったようで、何よりです😊
Twitter「ネコ見酒」 こちらですね⇒ https://twitter.com/LNwpkgk5lvQbDR7
投稿: 正多面体クラブ | 2021年12月10日 (金) 06時55分