【ウイルス図鑑101】ウイルスを見る目が変わる!
『ウイルス図鑑101』去年この本を買って、なかなか面白いから、そのうちブログに書こうと思っていて今日に至る(^^;
この本を買ったのは、カプシドが正20面体のウイルスがどのくらいあるか知りたかったのが第一ですが、
この本の帯には…
『ウイルスを見る目が変わる!
ヒトから細菌まで、すべての生物種に存在するウイルス──
ウイルス学の基礎とともに101種類のウイルスを宿主別に紹介。
それぞれの特徴、構造、発見の経緯、利用法、分布図などを簡潔にまとめた。
ウイルスがさまざまなかたちで
生命の根源に深くかかわっていることがわかるビジュアルガイド』
ウイルスが生命の根源にどうかかわっているのか? 面白そうなので買っちゃった~(^o^)
図鑑なので分厚くて、ちょい重い(約1.1kg)
では、ウイルスが生命の根源に深くかかわっていることがわかる興味深いトピックをいくつか抜粋…
●ゲノムに見られるウイルス「化石」
ウイルスが大昔に、おそらくは地球に生物が誕生したころの時代に、ゲノムを宿主のゲノムに組み込んできたことは判明している。これはレトロウイルスだけがなせるわざだとかつては考えられていたが、宿主にゲノムを統合してきたウイルスは他にも多く存在することが今日ではわかっている。
現代に生きる生物のゲノムのどの程度がウイルス由来なのかは諸説あるが、ヒトゲノムの場合は現時点では10%前後がレトロウイルス由来である。
一部のウイルス様配列はヒトからシーラカンスまで、非常に幅広く共通している。このような、ゲノムに残されたウイルス様配列の研究から、古ウイルス学と呼ばれる新たな学問分野が誕生し、急速に発展しつつある。
※「古ウイルス学」を検索すると…
⇒ Paleovirology - Wikipedia
paleo:古、旧 virology:ウイルス学
英語なのでGoogle先生に訳してもらいます⇒古ウイルス学 - Wikipedia
●JCウイルス
JCウイルスはとてもありふれたウイルスで、世界人口の50%~70%が感染している。たいていは幼少期に感染し、ほとんどの人は生涯を通じてなんの問題もなく、潜伏感染で終わる。
人類の移動を辿る新たなツール
JCウイルスは主な株が8種ほどあり、地理的な位置ごとに種類が異なる。ある場所で見られるウイルスは非常に似通っているが、場所が異なるとウイルス株も異なる。この特徴を生かし、また、ほとんどの人がこのウイルスに感染している事実をふまえ、JCウイルスは人類の歴史的移動パターンを突き止めるツールとして利用されている。
※JCウイルス - Wikipedia の「人類学」に↑このことが記載されていますね。
●トルクテノウイルス
人類の90%はトルクテノウイルスに感染しているが、症状は何も報告されていない。
トルクテノウイルスは世界中に存在し、あらゆる年齢層の人から見つかっている。… 個人が持っているウイルス量と免疫機能の低下レベルとは相互関係にあり、免疫抑制者はウイルス量が多い。したがって、トルクテノウイルスは免疫抑制のマーカー[診断に役立つ特異物質]として使える可能性がある。
病原体ではないウイルスはおそらく他にもたくさんいるだろうが、このようなウイルスには今まであまり関心が向けられなかった。だが、宿主にとって有益なウイルスが近年になっていくつも発見され、非病原性ウイルスへの関心が高まりつつある。現在、細菌を中心とした人体常在菌(マイクロバイオーム)の重要性が見えつつあるが、将来は人体に存在するウイルス集団(ビローム)の重要性も見えて来るかもしれない。
※ビローム:Virome またGoogle先生に訳してもらいます。⇒Virome - Wikipedia ん~ かなり???な訳ですね(^^;
ウイルス図鑑101(2018/2/20第1版)には新型コロナウイルス(COVID-19)は載ってませんが、
参考までに「コロナウイルス」より抜粋…
●SARS関連コロナウイルス
SARS(重症急性呼吸器症候群)は2002年に中国南部で突如出現し、香港に急速に広まり、世界数か所に拡散した。感染すると重症となり、死亡率は他に病気のない成人で10%、高齢者では50%となる。
2012年、近縁ウイルスであるMERS(中東呼吸器症候群)関連コロナウイルスがサウジアラビアに出現した。
コロナウイルスは電子顕微鏡でみると光環(コロナ)のように見えることから、この名がつけられた。RNAウイルスでは最大で、最も複雑なゲノムを有し、ヌクレオチドは最大32,000個である。コロナウイルス科にはヒトや他の動物に感染するものが非常に多く、そのうち6種はヒトに重病をもたらす。
次の2つのウイルスのトピックも興味深いものでした。
●ポリオウイルス
ポリオウイルスは太古の時代からヒトに感染していたはずだが、20世紀になるまで灰白隨縁(または小児麻痺)は非常にまれであった。その後、年長の子どもや成人が重い病気にかかるようになった。これは人々が飲み水を濾過したり、塩素などの化学物質で消毒したりするようになったことが原因と思われる。それまでは、ほとんどの子どもが幼少期にポリオに感染していた。幼児の場合、目立つ症状はめったに発現せず、一度得た免疫は生涯続く。だが…
●タバコモザイクウイルス
タバコモザイクウイルスは、初めて発見されたウイルスであるだけではない。RNAの遺伝特性、遺伝子暗号(タンパク質を作るためのRNA使用法)、巨大分子が植物細胞内で動くしくみなど、このウイルスによって初めて明かされたものは数多い。また、構造が決定された初のウイルスでもある。DNA構造解析の研究で有名なロザリンド・フランクリンは、タバコモザイクウイルスの模型を作っており、これは1958年のブリュッセル万国博覧会で展示された。さらに、遺伝子組換え作物づくりに初めて使用されたウイルスでもある。
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※関連リンク
細胞核ウイルス起源説 - Wikipedia
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