ビー玉正4面体逆立ちゴマの作り方/ビー玉の接着方法
逆立ちゴマは球体の上部を切り取って軸を付けたもので、軸をつまんで勢いよく回すと…
逆立ちします。
逆立ちゴマを見たことや回したことある人は多いと思うのですが、では「ビー玉逆立ちゴマ」は?
ビー玉を4つ接着剤でくっつけて、上になったビー玉をつまんで回すと…
逆立ちします! 回転しているビー玉に天井の照明の光が反射して光の輪になるのでなかなか綺麗です。
ビー玉逆立ちゴマのビー玉を立体の頂点とみなせば、これは正4面体に相当する立体です。
だから「ビー玉正4面体逆立ちゴマ」です。
■ビー玉の接着方法
ビー玉を4つ接着剤でくっつけるだけなのですが、ビー玉=ガラスしかも球体をくっつけるにはどんな接着剤を使えばよいでしょう?
瞬間接着剤でビー玉をくっつけてみたら…
こんな風になってしまい、接着することはできませんでした。
ホームセンターの接着剤コーナーに行くと色々な接着剤が並んでいます。
そして、ガラス・金属の接着には「エポキシ系接着剤」が適しています。
エポキシ系接着剤は2剤を混ぜると化学反応で硬化する接着剤です。
ちょっと独特の臭いがありますので、使用するときは風通しをよくしておきましょう。
接着剤が硬化するのに時間がかかりますので、作る時間は5分程度なのですが、硬化するのを待つのが2時間ほどかかります。
化学反応で硬化するので、夏と冬とでは硬化時間が異なり、夏の方が短い時間で硬化します。
■ビー玉正4面体の組み立て方
多くの人が「ビー玉を3個くっつけて、その上に1個のせる。」と考えるのですが、それは重力に囚われた考え方です。
正多面体を作るときは「対称性」を考えることが重要です。
ビー玉正4面体は、まずビー玉を2個ずつ接着し、それを互いに接着します。
「ビー玉を3個くっつける」のは簡単そうですが、やってみるとなかなか難しいです。
ビー玉2個なら接着点は1箇所なのですが、ビー玉3個だと接着点が3箇所になるからです。
■作り方
それではビー玉正4面体の作り方の手順を説明します。
●エポキシ系接着剤の2剤(A剤とB剤)を不要な紙の上に少量絞り出します。
最初はビー玉を2個ずつ2組接着しますから、必要な接着剤はほんの少量。
エポキシ系接着剤はゼリー状ですから、紙の上に少量ずつ並べて絞り出して、爪楊枝を使って混ぜます。
●混ぜ合わせた接着剤は5分程度で硬化を開始しますので、急がずゆっくり、爪楊枝の先に接着剤を絡めとり、ビー玉の上に接着剤をちょんとのせ、2個のビー玉をくっつけます。
接着剤の量は↑この程度です。
エポキシ系接着剤は完全硬化するのに1時間ほどかかりますので、それまで待ちます。
●2個ずつくっつけたビー玉を互いに組み合わせて接着し正4面体にします。
今度は4点同時接着になります。
接着剤を付けずにビー玉を組み合わせてみて、接点がどの辺になるかを見て、そこに接着剤をつけます。
接着剤を付ける位置は↑に示した位置です。この4点は正方形になっています。
●そしてまた接着剤が完全硬化するまで待ちます。
接着剤が完全硬化したら、やっとビー玉逆立ちゴマを回すことができます。
お待ちどうさまでした。
■科学イベントでの実施方法
科学イベントなどでビー玉逆立ちゴマを実施する場合、接着剤が固まるまで1時間待って、さらに1時間待ってというのでは実施できません。代わりに完成品を用意して回してみるだけではつまらないでしょう。
そこで、事前にビー玉2個くっつけたものを用意しておき、参加者には2個ずつを組み合わせて接着するところからやってもらいます。これなら硬化待ち時間1時間ですので、引換券で交換という方法で実施することができます。以前この方法で実施したことがありました。エポキシ系接着剤は臭うので窓とドアを開け放して、冬に。でも参加者には大好評でした。
科学イベントなのですから「なぜ逆立ちするのか?」を説明したいのですが、限られた時間の中でそれを説明するのは難しいです。
簡単にできる実験は、逆立ちゴマをテーブルの上で回した場合と、新聞紙の上で回した場合、どちらが逆立ちしやすいかを比べてみることです。
滑らかさが違う色々な物の上で回してみると、逆立ちゴマが逆立ちするのに「摩擦」が関係していることが分かります。
■実は逆立ちしていない…
ビー玉正4面体逆立ちゴマは一見逆立ちしているように見えますが、実は逆立ちしていないのです!
それは同じ色4個でなく、違う色のビー玉を混ぜた逆立ちゴマを回してみると分かります。
赤・緑・青・黄色の4色で作って、その赤いビー玉をつまんで回転させると…
ご覧のように(このときは)黄色いビー球を軸にして回転しています。
なぜか? それは正多面体の「対称性」のためです。回転軸にしたビー玉が下にならなくても、他の3つのビー玉のうちのどれかが下になれば、それで安定し、逆立ちしたように見えるのです。
普通の逆立ちゴマは180度「よっこらしょ」と逆立ちするので、勢いよく回さないと逆立ちしません。でもビー玉逆立ちゴマは軽い力で回しても逆立ちします(逆立ちしているように見えます)。
■誘導(心理学とのリンク)
科学イベントなどでビー玉逆立ちゴマの説明をするときは、まず普通の逆立ちゴマを回して、それが「よっこらしょ」と逆立ちするのを見せます。そして次にビー玉逆立ちゴマを回して見せると、たぶんほとんどの人が、ビー玉逆立ちゴマも普通の逆立ちゴマと同様に逆立ちしたと思うでしょう。
そして最後に、実は逆立ちしていなかったというネタばらしをします。先に普通の逆立ちゴマを見せ、次にビー玉逆立ちゴマの順に見せたのは、あなたが「ビー玉逆立ちコマが逆立ちした」と思い込むようにさせるためだったのです。これが心理学で言うところの「誘導」です。一見もっともだと思える説明でも、実はその中であなたは誘導されているかもしれないのです。科学イベントの説明でも、それを聞いて「なるほど!」と思うだけでなく「本当にそうか?」と注意深く聞くようにしましょう。そして「あれ?」と思ったら質問しましょう。すると、科学イベントがもっと楽しくなりますよ。
■逆立ちゴマを見つけよう
あるときNHK教育TVの高校講座物理を見ていたら「物は回転すると重心が高い位置で安定する」というようなことを言っていて、「本当にそうなの?」と思った私は、手近にあったビー玉正4面体を回してみたら、逆立ちした~!のではなく、重心が高い位置で安定しました。ビー玉正20面体を回してみても立ちました。
身近にある物を色々回転させてみると、新しい逆立ちゴマを発見できるかもしれませんよ。
ゆで卵を回転させると立つのも、逆立ちゴマと同じ原理です。その原理に興味がある方は「逆立ちゴマ 原理」で検索してくださいね。
※関連記事
2011/02/19 府中市青少年の科学体験フェスティバル「ビー玉正4面体逆立ちコマ」
2014/11/02 サイエンスアゴラ2014 №165 正多面体って意外と面白い…作ってみよう ←この記事で…
『ところで、今になって思い出したんですが、ビー玉正4面体逆立ちゴマの作り方をまだ書いてなかった(^^;
でも、サイエンスアゴラまであと一週間。それなのに準備はこれから(汗;汗;)
なので、ビー玉正4面体逆立ちゴマの作り方を書いてる時間はない。そのうち…(^^;』
…と書いて、ちっとも書かなかったので、先にRikaTanに書きました。
2016/09/01 ビー玉正4面体逆立ちゴマ…RikaTan 2016 10月号
※関連リンク
ゆで卵が立ち上がる!誰も解けなかった謎を解明…身近な謎を発見して解き明かす悦び 下村 裕 氏 - こだわりアカデミー
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