平面充填する万華鏡の三角形は3種類だけ!?…作ってみよう
一番ポピュラーな万華鏡は、幅の等しい3枚の鏡を正三角形に組んだものです。
この3枚の鏡で「無限」の繰り返しが現れる仕組みを→万華鏡の仕組み(合わせ鏡)で説明しています。
万華鏡の仕組み(合わせ鏡)で…
平面を隙間なく埋め尽くす図形を「平面充填図形」と言います。3枚の幅の等しい鏡を組み合わせてできる「正三角形」は平面充填図形です。正三角形以外の平面充填図形でも万華鏡は作れるのでしょうか? 調べて、実際に万華鏡を作ってみると、新しい発見があって、これがなかなか楽しいんです(^_^)
正三角形以外の万華鏡についての説明は Coming Soon?(いつになることやら(^^;)
…と 2010/04/24 に書て、もう9年も経ってるよ~(汗;)
平面充填する万華鏡の三角形は3種類あります。
▼正三角形(60°60°60°)
▼直角二等辺三角形(90°45°45°)
▼直角三角形(90°60°30°)
何でこの3種類だけなの?とは思うが、それは後で考えるとして~
まずは作ってみましょう。
上のミラーの写真は サイエンスアゴラ2015『作って楽しむ万華鏡の不思議』で作ったもの。
一般的に万華鏡の鏡は筒に入っていて、小さな覗き穴から覗くので、中のミラーがどう組まれているか見えません。でも「万華鏡の科学/幾何学」をするときは、鏡の形が重要なので、覗き穴は省いています。
さらに、筒(紙管)も無くてもいい。ビー玉万華鏡なら、ミラーとビー玉とビニールテープだけで作れるから、(材料を用意しておけば)3種類の万華鏡を組み立てるのは簡単です。
■ 用意するもの
◆ ポリカーボネイトミラー:0.5mm厚 15cm×20cm
※東急ハンズで30cm×30cmのミラーを買ってくると、3種類の万華鏡を2セット作れます。
◆ ビー玉:直径25mm クリア 3個
※ここでは東急ハンズ CM-9 10個入り\350 を使っています。
◆ ビニールテープ:16.5cm 9枚
※ビニールテープはミラーの長さ15cm+ビー玉を貼るのりしろ1.5cm=16.5cmです。
予め所定の長さに切って、カッティングマットに貼り付けておくと、科学イベントなどで多人数に対応するとき、組み立て時間が短縮できます。
■ ミラーカット
正三角形の万華鏡はミラーを3枚同じ幅にカットすればいいので、1cm方眼のカッティングマットの上にミラーを置いて、長さ15cm、幅2cmに3枚カットします。
でも、直角二等辺三角形(90°45°45°)の場合は、一番長い辺の長さをLとすると、他の2辺の長さは L×cos(45°)ですし、直角三角形(90°60°30°)の場合は、L×cos(60°)とL×cos(30°)です。
内径30mmの紙管の中に入るように L=28mmとすると、三角形の3辺の長さは…
直角二等辺三角形(90°45°45°)は、28mm, 19.8mm, 19.8mm
直角三角形(90°60°30°)は、28mm, 14mm, 24.2mm です。
1cm方眼のカッティングマットの上に置いてカットできるものではありません。
ではどうするか?
予め紙に所定の幅の線を描いておきます。でも、定規と鉛筆で0.1mm精度の線は描けませんから、CADで描きます。
↓CADで描いた「万華鏡ミラーカット台紙」のPDFです。
・万華鏡ミラーカット台紙:90°45°45°.pdf
・万華鏡ミラーカット台紙:90°60°30°.pdf
このPDFをA4の紙に印刷し、15cm幅にカットしたポリカーボネイトミラーを「万華鏡ミラーカット台紙」の上に置いて、カッターで切ります。
0.5mm厚のポリカーボネイトミラーは普通の力ではカッターを1回引いても切れません。でも2回も3回もカッターを引く必要はありません。カッターで1回切れ目を入れたら、あとは切れ目を広げるように折り曲げればポリカーボネイトミラーを切り離せます。
注:カッターで切れ目を入れるのは、ミラー面に保護シートが貼ってある側です。反対側に切れ目を入れると、折り曲げて切り離すとき、保護シートがつながったままで、保護シートが剥がれてしまいますから。
※科学イベントなどで多人数に対応するときは、1枚1枚切り離してしまわず、3枚セットで切り離しておきます。こうすると何人分の材料を用意したか数えやすいし、取り扱いも楽です。3枚セットのミラーを1枚1枚切り離すのは実際に組み立てるとき…「水色の面(保護シートの無い側)を上にして、折り紙を折るように折り曲げれば、ミラーが切り離せるよ。」←これで子供たちも楽々ミラー切り離せます。
■ 正三角形のビー玉万華鏡の組み立て方
◆ 長方形のミラーを3枚、青い裏側を上にしてピタッと並べます。
◆ ミラーの合わせ目にビニールテープを貼ります。
15cmのミラーに対し、ビニールテープは16.5cmの長さなので、
ビニールテープは片方の端をミラーの端に合わせ、もう一方の端は1.5cmはみ出します。
◆ ビニールテープを1枚、2枚貼ったら、3枚目は1枚目と2枚目の隙間と同じ間隔を開けて貼ります。
3枚目のビニールテープはミラーから半分はみ出した状態です。
◆ ミラーにテープを貼ったら裏返して、手前のミラーを折り紙を折るようにしっかり押さえながら折ります。
この操作はミラーとミラーの間に三角形に組むときに適度な隙間を空けるために行います。
◆ 2枚目のミラーも同じように、折り紙を折るようにしっかり押さえながら折ります。
◆ 折って戻すと、ミラーとミラーの間には適度な隙間が空いています。
保護シートを剥がすと、きれいな鏡面が現れます。
◆ ミラーを三角形に組みます。
ミラーを三角形に組んだら、ビニールテープの真ん中あたりを押さえて貼り合わせ、そこから左右に、ビニールテープを上から下になぞるように押さえるときれいに貼れます。
◆ ミラーの端に出っ張っているビニールテープを皮をむくようにひっくり返します。
◆ そこにビー玉を載せ…
◆ ビニールテープでビー玉を包むように貼ります。
※ビー玉はビニールテープで貼っているだけなので、ビー玉がしっかり貼り付いているか確認してください。
◆ これでビー玉万華鏡の出来上がり~
ビー玉万華鏡はビー玉の先にあるものを映し出す万華鏡なので、
例えばテープルの上のミカンを見ると…
ミカンがいっぱい!(^o^)
■ 直角三角形(90°60°30°)のビー玉の付け方
直角二等辺三角形(90°45°45°)のビー玉万華鏡も、直角三角形(90°60°30°)のビー玉万華鏡も、組み立て方は同様です。
でも、直角三角形(90°60°30°)はビー玉の付け方をちょっと工夫します。
直角三角形(90°60°30°)の上にビー玉を置くと…
ビー玉は90°の頂点のところに寄ります。この状態のままビー玉をビニールテープでとめるのでなく、
ビー玉を30°の頂点のところに寄せてビニールテープでとめます。
万華鏡の仕組み(合わせ鏡)で説明したように、2枚の鏡の角度によって、そこに映るパターンの繰り返し回数が変わります。
90°→4回
60°→6回
30°→12回
ヒトは対称性の高いパターンを美しいと感じるようなので、対称性の高い30°の頂点でビー玉の投映象が見易いように、30°の頂点にビー玉を寄せておきましょう。
■ 三種類の平面充填ビー玉万華鏡
三種類の万華鏡を作ったら、ミラーの形で見え方がどんな風に違うのかを見てみましょう。
ビー玉万華鏡はビー玉の先にあるものが映るので、色鮮やかなものをにビー玉を向けるのがお薦め。
また、ビー玉の外の世界をビー玉の球面に投影しているので、歪曲収差が大きくて歪んだ画像になるので、静止画で撮るとイマイチなんですが、ビー玉万華鏡で見る先を変えれば画像がダイナミックに変わるので楽しいですよ(^o^)
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