ジオデシックボール(ストロー80面体)の作り方
ジオデシックボール(ストロー80面体)を作るに至った経緯は既に書きましたので、今回はは作り方です。
これから説明する作り方でジオデシックボール(ストロー80面体)を作るには、少なくともストロー正20面体を楽々作れるくらいになっている必要があります。
初めてストロー多面体を作る人には、ストロー正多面体のページを見て、正4面体→正8面体→正20面体を作ってみることを強くお勧めします。これを理解していないと、ストロー80面体を作っても途中で「わけわかんなくなっちゃった~」となるだけですから(^^;
■構造を理解し、完成形に至る道筋をイメージする
ストロー多面体は1ステップで1面ずつ作っていきます。ジオデシックボール(2V)は80面体ですから、80ステップになります。80ステップもの手順をただ手順通りに作っていくと、まぁたいてい途中でつまずくでしょう。
ものづくりをするとき、構造を理解し、完成形に至る道筋をイメージしておくことが重要だと思います。
下図は DOME CALCULATOR の 2V の Assembly Diagram です。
B(赤)6本に囲まれた三角形の中に A(青)3本の三角形がある部分に注目すると、ジオデシックボール(2V)は、正20面体の各辺を2分割し、各面を4分割した多面体ととらえることができますが、
別の見方として、A(青)の方に注目すると、20・12面体の正五角形の面を5分割した多面体ととらえることもできます。この図のA(青)だけを見ると、正三角形と正五角形で構成されていますね。この図はドームの組み立て図なので、球の上半分・前半分が描かれていますが、これを球に拡張すれば、正三角形20面と正五角形12面で構成される20・12面体になります。
ジオデシックドーム(2V)は3層で構成されます。
1層目は、5本のB(赤)と5本のA(青)で構成される五角錐。底辺はA(青)の正五角形。
2層目は、AAAで構成される正三角形を5個含み、底辺はB(赤)の10角形となる。
3層目は、AAAで構成される正三角形を5個含み、底辺はA(青)の10角形となる。
ここまでで、AAAの正三角形が10個となりました。
また、2層目と3層目をまたいで、五角錐が5個です。1層目の五角錐と合わせて、五角錐は6個となります。
ジオデシックボール(2V)は、ドームの倍となり、6層で構成されます。
全体で、AAAの正三角形が20個、5B5Aで構成される五角錐は12個。
だから、20・12面体の正五角形の面を5分割した多面体ですね。
はい、ここまで理解しておくとジオデシックボール(ストロー80面体)は以下の編み方を見なくても作れます。
ていうか、編み方の手順だけ見て、120本のストローと9メートルのゴムひもを編むのは「苦行」でしかないと思うのですけど(^^;
でも、上記の構造を理解していると、自然に次のステップが見えてくるようになり、そうなるとストロー多面体編み物が楽しくなるんです(^_^)
とはいえ「大人の夏休みの自由研究」として作ったジオデシックボール(ストロー80面体)ですので、自由研究のまとめとして、作り方を記録しておかなくては!
■用意するもの
ジオデシックボール(2V)は2種類の長さのストローを60本ずつ用意します。
A=34mm 60本(青いストロー)
B=30mm 60本(赤いストロー)
ストローを編むゴムひもの長さは…
(34×60+30×60)×2=7,680mm+予備で 8メートル
はじめての試作のときはもっと予備を取っておいた方が安全なので(編み終わりごろになって、片側のゴムひもが足りなくなちゃった~ なんてことがないように…)9メートルにしました。
※ストローは直径4mmの細めの物を使っています。(100円ショップで購入)
※ゴムひもは2本丸という太さのもの。(1本丸の方が初心者には通しやすいですが、2本丸の方ができあがりがしっかりしたものになります。)
■編み方
ストロー正多面体の編み方を説明するために独自にあみ出した下記の記号で説明します。
今回は長さの違う2種類のストローがありますので、それを A(34mm)は△、B(30mm)は〇で区別します。
△ 右側のゴムひもに新しいストローAを通します。
○ 右側のゴムひもに新しいストローBを通します。
× 左側のゴムひもを右側のゴムひもに通した最後のストローに通しクロスさせます。
▲ 左側のゴムひもをゴムひもが一本だけ通っているストローAに通します。
● 左側のゴムひもをゴムひもが一本だけ通っているストローBに通します。
〆 左右のゴムひもが一箇所に集まったら、ゴムひもをかたく結んで、結んだ後のゴムひもの端をもう一度ストローに通します。そして余ったゴムひもは切り落として完成です。(ゴムひもを結んだところで切ると、ゴムひもがほどけてしまうことがあるので「結んだ後のゴムひもの端をもう一度ストローに通します」ここだけ、ストローの中をゴムひもが3回通ることになります。こうしておくと、結び目が目立たなくなり、できあがりがキレイになります。)
ジオデシックボール(ストロー80面体)の編み方
全80ステップ。
丸数字はそこで5B5Aで構成される五角錐ができることを示します。
(数字)はそこでAAAで構成される正三角形ができることを示します。
1 〇△〇×
2 △〇×
3 △〇×
4 △〇×
5 ●△× ①
1層目ができました。
ちょっとだけ盛り上がった五角錐になっています。
6 △△× (1)
7 〇〇×
8 〇△×
9 ▲△× (2)
10 〇〇×
11 〇△×
12 ▲△× (3)
13 〇〇×
14 〇△×
15 ▲△× (4)
16 〇〇×
17 〇△×
18 ▲△× (5)
19 〇〇×
20 ▲〇×
2層目ができました。底辺(外周)はB(赤)の10角形です。
21 〇△×
22 △△× (6)
23 ●〇×
24 △〇×
25 ●△× ②
26 △△× (7)
27 ●〇×
28 △〇×
29 ●△× ③
30 △△× (8)
31 ●〇×
32 △〇×
33 ●△× ④
34 △△× (9)
35 ●〇×
36 △〇×
37 ●△× ⑤
38 △△× (10)
39 ●〇×
40 ●△× ⑥
3層目ができました。底辺(外周)はA(青)の10角形です。
2層目も3層目も10角形ですが、
2層目 B(赤)30mm
3層目 A(青)34mm と長さが違うので、2層目より3層目の方が膨らんでいます。
伏せて置くとジオデシックドームです(^^)v
ストローとゴムひもで頂点が可動な状態ですから、キッチリ・カッチリとはならず、歪んでしまうのは致し方ないところ。でもボールになれば歪まなくなります。
41 △△× (11)
42 〇〇×
43 ▲〇×
44 〇△×
45 ▲△× (12)
46 〇〇×
47 ▲〇×
48 〇△×
49 ▲△× (13)
50 〇〇×
51 ▲〇×
52 〇△×
53 ▲△× (14)
54 〇〇×
55 ▲〇×
56 〇△×
57 ▲△× (15)
58 〇〇×
59 ▲〇×
60 △〇×
4層目ができました。底辺(外周)はB(赤)の10角形です。
伏せて置くと、気分は「富士山レーダードーム」(^o^)
ただし、富士山レーダードームはV3のジオデシックドームのようです。
61 △〇×
62 ●△× ⑦
63 △△× (16)
64 ●〇×
65 ●△× ⑧
66 △△× (17)
67 ●〇×
68 ●△× ⑨
69 △△× (18)
70 ●〇×
71 ●△× ⑩
72 △△× (19)
73 ●〇×
74 ●〇× ⑪
75 ▲△× (20)
5層目ができました。底辺(外周)はA(青)の五角形です。
残りのストローはB(赤)5本。完成間近です。
※この時、左右のゴムひもの残りの長さが~
左側約30cm、右側約120cmと、ずいぶん差が出たのですが… 何で?
ゴムひもの予備を1メートル長くしておいて、ヨカッタ~(^^;
76 〇〇×
77 ▲〇×
78 ▲〇×
79 ▲〇×
80 ▲●〆
完成\(^o^)/
直径約16cm
五角錐の頂点から向こう側を覗く…
各頂点では、隣り合うストローの間をゴムひもが通っています。
ここがストロー多面体の「美の構造」ですね。
では最後にもう一度、大きな画像で…
よくできました(^_^)
※ミスしやすいポイント
80ステップもあるので途中で一休みして再開するとき、ゴムひもの左右を間違えないようにしましょう。
私は、3層目まで作って「ジオデシックド~ム」
4層目まで作って「富士山レーダード~ム」 とかやっていたら…
伏せて元に戻す過程で左右が入れ替わってしまい、それに気付かず、5層目で5角形に閉じなくなってしまい、あれ~!どこで間違えた?と、2日悩んだ(放置しといた)末、気を取り直して再チャレンジして、「あ~ここで間違えていたのか~!」と気付きました。
1層目、3層目、5層目までできたときは、左右対称なので、左右が入れ替わっても問題なかったのですが、2層目と4層目までできたときは左右対称でないので、そこで左右を間違えると、その先で「あれ~?」となります(^^;;
※「金天馬」のゴムひもがお薦め
100円ショップで買ってきたゴムひもと、新宿オカダヤで買ってきた「金天馬」のゴムひもとで、ストロー多面体を作っているときの「感じ」を比べると、全然違う!
作り初めは左右に4メートルものゴムひもをストローに通さなければならないのだが、「金天馬」のゴムひもはストローの中を スースースーーーと通るのです。
やっぱ、ストロー多面体作りには「金天馬」のゴムひもだな!と再認識しました。
→2012/07/17 「ストロー正多面体」の準備作業
■さらに…
●単色のストローで作る。
初めて作るときは2色のストローで色分けしないと作るの難しいですが、一度作って理解したら、次は単色のストローで作ってみよう。
●3Vのジオデシックボールを作る。
3Vのジオデシックボールは、切頂20面体の正五角形を5分割し、正六角形を6分割したものです。
●9メートルのゴムひもを左右同じ長さで作り始めたのに、終わりごろには約1メートルも左右で差が出たのはなぜか?調べる。
●20・12面体をストロー多面体の編み方で作る。
作ろうとしたのだが、作れなかった~!何で?
※ツイートしたら、かなりリツイート/いいねされました(^^)v
「大人の夏休みの自由研究」を楽しんだ。
ジオデシックボール(ストロー80面体)の作り方 https://t.co/V8gZ7VPVkr#自由研究 #ジオデシック pic.twitter.com/dlWKClkg50— 正多面体クラブ (@RPolyhedra) 2018年8月19日
※2020/01/26 文京区教育センター 近くの切通公園で『ジオデシックドーム・ジャングルジム』を見つけた~(^o^)
このジオデシックドームは V2 じゃなくて、V3 なんですね!
5層目はないけど。(5層目まで作ると、ジャングルジムとして高くなりすぎるからかな?)
↑ DOME CALCULATOR より
あ~! V3のジオデシックドームの赤道(大円)は5層目の下側ではなく、上側でもなく、中間にあるんだ。
V2, V4, V6,・・・偶数ジオデシックドームは支柱が赤道を通るけど、
V1, V3, V5,・・・奇数ジオデシックドームは支柱の三角形で構成される帯が赤道になってる。
そして、V3の赤道(大円)の帯をPPバンドで編むと… セパタクローボールになるのか~!
→PPバンドのセパタクローボールの作り方…『三すくみ』で説明
最近のコメント