オブジェクトを変えられる万華鏡(Kaleidoscope)
オブジェクト【object】とは「物、目標物、対象という意味の英単語」で、万華鏡のオブジェクトとは、鏡を通して見る対象物(色とりどりのビーズ等)のことをいいます。
万華鏡って見てると綺麗で、より綺麗なパターンを見つけたときなんかは楽しいですよね(^o^) ところで、万華鏡って、万もパーターンが変化します? 私は似たようなパターンしか出てこないので、すぐに飽きちゃいます(^^;
オブジェクトが赤系のビーズなら、赤系のパターンしか出てこないし~ 他の色も見たい~と思ったらどうすりゃいいの?
そうだ!オブジェクトを変えられる万華鏡を作ればいいんだ~(^o^)v
■万華鏡の中はどうなってるの?
万華鏡の作り方を知ろうと思ったら、どうします? 今ならインターネットで「万華鏡の作り方」で検索すればすぐわかりますね。でも他にも方法はあります。「分解してみよう!」です。分解するって、物の仕組みを調べるときの基本的な手段の一つですし、色々な発見があって、実は楽しいです(^_^)
分解してみました(^o^)v 覗き穴の金物の脇にカッターの刃を当てて、ぐるぐるカッターを回すと…本体の紙管と切り離せました。中から出てきたのは… 三角形のボール紙の中にピタッと収まった金属板が3枚。この金属板が鏡です。普段みなさんが見てる鏡はガラスの裏面に金属を塗ったものですが、分解したような価格の安い万華鏡ではガラスの鏡は使いません。
実は私、万華鏡の分解は今回で2回目でして… 今回分解した万華鏡は、写真撮影するために買ってきて分解しました。以前(数年前)に分解した同じタイプの万華鏡では、鏡は金属板でなく「銀紙」でした!「へ~!銀紙でも鏡の代わりになるんだ~。なるほど、銀紙ならコストダウンできるよね~」と分解して感心してました。(こういう発見が「分解してみる」楽しさです(^o^)
さて、鏡以外は…覗き穴の反対側にあったのが、ビーズやセロファンやリリアン等が入った「オブジェクト」です。丸い透明なプラスチックの皿に入っていて、丸いすりガラスでピッタリとふたされていました。
ん~万華鏡を自作するには、鏡とオブジェクトの入れ物をどうするか?これが一番問題ですね~
■用意するもの
◆紙管:内径3cm,長さ20cm。紙管(しかん)とは、紙製の筒です。ここでは東急ハンズで買ってきた内径3cm長さ1mの紙管を、長さ20cm(5本)に切って使っています。ラップの芯を使うこともできます。(ラップの芯を使う場合は、ラップの芯の内径に合わせてミラーの幅を計算する必要があります。計算方法は後で説明しています。)
◆ポリカーボネイト・ミラー または 塩ビ・ミラー:0.5mm厚のミラー板を、幅25mm,長さ20cmに切ったものを3枚。ポリカーボネイト・ミラーは東急ハンズで買ってきました。45cm×30cm(0.5mm厚)のものが\1,300ぐらいです。塩ビ・ミラーだとその半額ぐらいでした。(どちらを使っても良いのですが、ここでは「鏡の中のサッカーボール」を作ったときに使ったポリカーボネイト・ミラーを使っています。右の写真で、2枚の銀色がポリカーボネイト・ミラーの鏡面、1枚の水色がポリカーボネイト・ミラーの裏面です。)
◆カッター,カッティングマットと定規:紙管とミラーを切るのに使います。
◆クリームケース透明:100円ショップで見つけました!外径3.5cmぐらいの丸い透明なケースで、ねじ式のフタを開閉できますから万華鏡のオブジェクト入れにぴったりです(^o^)v このケースがないと「オブジェクトを変えられる万華鏡」になりませんので、100円ショップや雑貨屋さんを歩き回って見つけてくださいな。
◆色とりどりのビーズ:万華鏡のオブジェクトになる色とりどりのビーズは、好みに合わせて用意してください。100円ショップや手芸用品店で売ってます。
◆ビニールテープ,ハサミ:鏡を三角形に貼り合わせるのに使います。
■作り方
◆紙管は普通1mの長さで売ってますから、これを20cmの長さにカッターで切ります。紙管を切るには… 紙管の周りにやや厚めの紙(古雑誌の表紙を幅4cmぐらいに切って使っています)を巻き付け、その紙を定規代わりにして、カッターでグル~と一周切り傷を付けます。ちょっと違った…カッターの方は固定しておいて、紙管の方をグル~と一回転させます。後はその切り傷をなぞって紙管を数回転させれば、紙管を切ることができます。
※ラップの芯を使う場合は… ミニタイプ(幅22cmくらい)のものならそのままの長さでOKです。幅30cmのラップの芯の場合、30cmではちょっと長すぎる(ミラーが余計に必要になる)ので、20cmの長さに切ります。
人間の目が楽にピントを合わせられる距離は30cmぐらいかららしいですので、30cmの紙管でもいいのですが、20cmでも普通の人には十分見えますから、材料節約のために紙管の長さ=ミラーの長さを20cmにしています。最初に分解した万華鏡の長さは15cmでした。15cmだと、老眼の人にはピントを合わせるのがちょっと厳しかったりします(^^; でも、もっと短い万華鏡もありますよね~ そういう万華鏡は覗き穴のところにレンズが付いていて、短くてもピントが合うようになっています。
◆ポリカーボネイト・ミラー または 塩ビ・ミラーを、幅25mm,長さ20cmで3枚、カッターで切り出します。このミラーのサイズは、紙管の内径が30mm,紙管の長さが20cmの場合です。ラップの芯を使う場合や、太さの違う紙管を使う場合は、使う紙管の内径に合わせてミラーのサイズを調整する必要があります。
ミラーの長さ=紙管の長さ ですから、こっちは問題ありませんね。では、ミラーの幅は?
万華鏡のミラーは、紙管に内接する正三角形ですから、その正三角形の一辺の長さは?...
ミラーの幅 = 紙管の内径 × cos(30°) ≒ 紙管の内径 × 0.866
です。内径30mmの紙管だと… 30mm × 0.866 ≒ 25.98mm となります。これは紙管にピッタリ収まる正三角形の一辺の長さですから、この通りのサイズにすると(ミラーを三角形に貼り合わせるビニールテープの厚さとかが加わって)紙管の中に三角形に組んだミラーが入らなくなってしまいます。ですから、小数点以下は切り捨てて、25mmぐらいが実際のピッタリサイズになります。
※内径24mmのラップの芯を使う場合は… 24mm × 0.866 ≒ 20mm となります。
高校生以上の人で、数学の三角関数(サイン,コサイン)で躓いて…「日常生活で三角関数を使うことなんてないから、三角関数なんて分からなくても平気だ~」と自分を納得させていた人へ…
上記の式の中に出てくる cos(30°)は、三角関数のコサインです。万華鏡を自作するのが「日常」かどうかは微妙ですが、三角関数は万華鏡作りに「役立つ」んです~(^^)v
あ~、万華鏡を作らなくても、あなたはたぶん毎日三角関数を使っています。携帯電話で通話するとき、デジカメで写真を撮るとき、DVDを見るとき… 実は三角関数をバンバン使っているのです。(興味があったら「離散コサイン変換」で検索してみてくださいな。あ、ヒットするページが専門的すぎて…見ない方がいいと思います(^^;)
何が言いたかったかと言うと「三角関数は日常生活でとっても役立っているんだよ」ってことです。
◆長々書いてしまいましたが、紙管とミラーが準備できたら、後は比較的簡単です。
※科学体験クラブのイベントで子供たちに万華鏡を作らせるときは、紙管とミラーの準備はこちらで済ませ、これ以降の組み立てるところを子供たちにさせています。
◆ビニールテープをミラーの幅の4倍(25mm×4=10cm)の長さに3枚切り、ミラーの裏側に写真のように貼ります。
◆ミラーの表面とビニールテープの糊面を上にして、テーブルの上に置き、1枚目のミラーの隣に2枚目のミラーを立てて置き、パタンと向こう側に倒します。すると、1枚目のミラーと2枚目のミラーの間に0.5mmの隙間ができます。この隙間はミラーを三角形に組むときに必要な隙間です。
◆3枚目のミラーも同じように、2枚目のミラーの隣に3枚目のミラーを立てて置き、パタンと向こう側に倒します。
◆3枚のミラーが0.5mmの隙間を空けてビニールテープの上に並んだら… ミラーの鏡面に貼ってある保護シートを剥がします。すると、キレイな鏡面が現れます。ここで鏡面に手を触れて鏡面を汚さないように気をつけましょう。
◆ミラーを三角形に組み立てます。
◆三角形に組み立てたミラーを紙管の中に入れます。三角形に組んだミラーが紙管に対してスカスカで、簡単に飛び出してしまうようだったら、ビニールテープを二重に巻いて、三角形に組んだミラーが紙管の中にピッタリ入るように調整しましょう。※このとき、既に巻いてあるビニールテープにピッタリ重ねてビニールテープを二重に巻くと、ビニールテープが紙管の端に引っかかり入らなくなることもあるので、2枚目のビニールテープは1枚目のビニールテープに対して半分ずらして貼りましょう。(写真では赤のビニールテープを貼っていますが、これは2枚のビニールテープを見分けやすくするためで、色を変える必要はありませんから)
◆オブジェクトを入れる透明ケースを紙管の端にビニールテープで貼り付けます。透明ケースのフタを外して、フタの部分だけをビニールテープで紙管の端に巻き付けます。
◆透明ケースにお好みの色のビーズを入れて取り付ければ、万華鏡の完成です(^o^)/~
覗いてみましょう。ほ~らキレイ(^_^) オブジェクトを入れ換えれば、色んな色の万華鏡を楽しめます。
■さらに…
ビー玉万華鏡も作ってみよう⇒ビー玉万華鏡
万華鏡の仕組を知ろう⇒万華鏡の仕組み(合わせ鏡)
※この記事の作成日は 2009/10/25
~.dion.ne.jp/~kagaku というサイトに載せていましたが、ホームページサービス(dion.ne.jp)が利用者減少のため2017/10/31で終了するので、ホームページのコンテンツをブログに移しました。
※関連記事
2015/11/08 サイエンスアゴラ2015『作って楽しむ万華鏡の不思議』準備中~(その3)
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