正多面体とボール…意外と身近にある正多面体
2014青少年のための科学の祭典 東京大会in小金井「ストローとゴムひもで作る正多面体」で出展しまして、その中でお話した『正多面体とボール…意外と身近にある正多面体』について記しておきます。
正多面体はここに並べた5種類あります。
左から、正4面体、正6面体、正8面体、正12面体、正20面体。
正多面体はこの5種類しかありません。正多面体が5種類しかないことはギリシャ時代から知られていました。あ~石器時代の人も5種類あることは知っていました。
『え!ほんとに5種類しか無いんですか?』と言う人、数人…
3分あれば証明できますから聞いてきます?→正多面体はなぜ5種類しかないのか?
正4面体は尖ってますけど、面の数が多くなるとだんだんと丸くなり球に近くなってきます。
正20面体なんてかなり丸いですよね。でも頂点のところが尖ってるので、ここを切り落とすと正5角形が出てきます。そして三角形の残った部分は正6角形になります。
サッカーボールは12個の正5角形と、20個の正6角形でできています。
これは正20面体の尖っているところ(頂点)を切り落とした立体で「切頂20面体(せっちょう20めんたい)」という名前の立体です。
正12面体もかなり丸いですね。正20面体と同じように正12面体の頂点を切り落とすと~
正3角形が20個出てきて、残った部分は正5角形12個になります。
これは「20・12面体」という名前の立体です。
そしてこの形のボールが…
セパタクローボールです。セパタクローは東南アジア各国で盛んな球技です。
このセパタクローボールは梱包用のPPバンドで作ったもので、本物(競技用のボール)はもっと大きいです。
(作り方はこちら→PPバンドのセパタクローボールの作り方…『三すくみ』で説明)
「3本のPPバンドが互いに上下上下と重なって、三すくみになってます。」と説明したら、
『三すくみ!グー・チョキ・パーだ!』というお母さんがいた。「三すくみ」が「グー・チョキ・パー」だと分かっていると、このボールがPPバンドを編んだだけで、なぜ崩れないのか?まで説明してしまう私(^^)
これは切頂20面体=サッカーボールをストローとゴムひもで作ったもので、C60フラーレンの分子模型のつもりです(^o^)
(作り方はこちら→C60フラーレン分子模型の作り方)
※え~「フラーレン」とは上のストローとゴムひもで作った切頂20面体の形です。
その上の「PPバンドのセパタクローボール」を「フラーレンボール」と称して科学イベントで実施しているのを時々見かけます。が、「PPバンドのセパタクローボール」は「フラーレンボール」ではありません!
ここまで説明してきたように、「PPバンドのセパタクローボール」は「20・12面体」です。
「C60フラーレン」は「切頂20面体」です。
ですから、「PPバンドのセパタクローボール」を「フラーレンボール」と呼ぶのは、科学的/幾何学的に間違っています。
科学イベントの出展者は子供たちに間違った科学知識を与えてしまわないように、自分が出展する内容についてWebで検索するなどして事前にチェックしておくべきだと思います。
あ、お話がわき道にそれました(^^; 会場でお話した内容は上記の※部分は除きまして~ 元に戻ります。
この様に正多面体はサッカーボールやセパタクローボールなど意外と身近なところに現れる形なんです。
これは↓手鞠(てまり)です。
左側の手鞠は五角形の模様が12個で構成されていて、その下に置いた正12面体に相当する形です。手鞠の模様のベースとなる形を「地割(じわり)」と言います。
中央の手鞠は正8面体の地割、右側の手鞠は正6面体の地割です。
手鞠の地割りには正多面体が現れることが多いです。
「正多面体」のことを今日初めて知った人もいるでしょうし、知っていても普段「正多面体」を意識することはほとんどないでしょうが、意外と身近なところに正多面体があるってことを覚えておいて下さい。
…こんな感じで正多面体のお話をしてきました~(^o^)
※「てまり」関連の記事
・立方八面体と正八面体の手毬(てまり)
・正十二面体と正六面体の手毬(てまり)
・正多面体てまりコレクション
・この手まりは美しい~!『松本手まり』
・びんの手まり 滋賀県愛荘町
※厳密に言うと、サッカーボールやセパタクローボールは正多面体ではなく、
サッカーボール⇒切頂20面体⇒半正多面体
セパタクローボール⇒20・12面体⇒準正多面体 です。
でも、そんなとこまで言い出すと話がややこしくなるだけなので、「正多面体です」ではなく「正多面体が現れます」と表現してます。
※あ~最も身近にある正多面体はこれかも→ウイルスにも正20面体
※2015/02/24追記
ここ二三日「正多面体 身近」みたいなキーワード/フレーズでの検索が増えている。なんで?
まぁ、一番身近な正多面体は正6面体(立方体)のサイコロだと思うんですが、正多面体5種類のサイコロもありますよ。
→正12面体サイコロ
あ~それと…
→ダイアモンド(Diamond)の結晶は8面体 ←あまり身近にはないか(^^;
それから、ラピュタの飛行石は正8面体です(^o^)
→コーナーキューブ⇒正8面体⇒天空の城ラピュタの飛行石
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コメント
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セパタクローボールは20・12面体というより切頂20面体に近いように見えます...
そもそも正十二面体と正二十面体は、たがいに面と頂点を交換した関係にあり、角を落とすと幾何学的に似たものになるので目くじら立てる必要は無いのではないでしょうか
投稿: | 2022年7月 2日 (土) 13時23分
名無しさん
> セパタクローボールは20・12面体というより切頂20面体に近いように見えます
頭の中で、セパタクローボールの幅のある帯(バンド)を、幅の無い線にして、それがどういう立体になるか考えてみてください。
切頂20面体は、正20面体の各頂点を辺の1/3まで切り落とした立体です。
20・12面体は、正12面体または正20面体の各頂点を辺の中心まで切り落とした立体です。
正12面体と正20面体は互いに「双対」で、
> 角を落とすと幾何学的に似たものになる
だけではなく、辺の中心(1/2)まで切り落とすと、同じ形=20・12面体になります。
「目くじらを立てる」とは『わずかの事を取り立ててそしりののしる。』ことです。
ここに書いたことは観察した事実で、目くじらなんて立ててませんよ💧
あ、もしかして、目くじら立ててると思ったのは『ですから、「PPバンドのセパタクローボール」を「フラーレンボール」と呼ぶのは、科学的/幾何学的に間違っています。』のところ?
子供たちに間違った科学知識を与えてしまうことには目くじら立てますね!
投稿: 正多面体クラブ | 2022年7月 2日 (土) 14時40分