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2014年9月 3日 (水)

丸ビーズで正多面体を作ると「双対(そうつい)」が面白い

Polyhedra140903d2
左側は丸ビーズを正12面体に編んだビーズボール。
右側は丸ビーズを正20面体に編んだビーズボール。
上段はクリアビーズでテグスの通り方を見えるようにしたもの。
左上は正12面体なので赤いテグスが五角形になっています。
右上は正20面体なので青いテグスが三角形で5個集まっています。
下段はパールビーズで作ったもの。この2つのビーズの集まり方だけを見ると~
ね、同じ形でしょ!
作り方(テグスの通し方)は正12面体と正20面体で全然違います。
でも、丸ビーズで作ると、出来上がった形が同じになってしまう!
不思議~ 面白い~(^o^)
これ、正多面体の「双対(そうつい)」です。

双対(そうつい)が何であるかはおいといて~
これを発見するに至った経緯…
Polyhedra140903a
正多面体がどういうものか知ってもらうには、WikipediaのCGを見るより/本で図を見るより、実物を触ってみる&作ってみるのが一番だと思ってます。
上の写真の上段は集光プラスチックで作った正多面体。集光プラスチックで作ると立体が半透明でエッジが光るので、正多面体の展示・説明用にはベストなんですが、簡単には作れない。
誰にでも作れそうな正多面体の作り方としてはペーパークラフトがありますが…
Polyhedra140903f
(作り方は→正多面体ペーパークラフト
これを科学イベントでやっても、1時間以上の時間をかけてこれを作ろうと思う子は少ないだろう(^^;
もうちょっと簡単に作れて、子供たちに「作ってみたい!」と思わせるような正多面体工作は~ と編み出したのが、上のストローとゴムひもで作る正多面体(ストロー正多面体)。これを…
2014青少年のための科学の祭典 東京大会in小金井「ストローとゴムひもで作る正多面体」でもやってきました~(^o^)

ところで、ストローとゴムひもで正多面体を作ると、これをビーズとテグスで作ったらどうよ?という発想が湧いてきます。
Polyhedra140903b
上段がストロー正多面体。
下段が丸ビーズの正多面体。ストローを丸ビーズに、ゴムひもをテグスに変えて作りました。作ってみて気づいた…
あれ?正12面体と正20面体、テグスを見ないでビーズだけ見ると同じ形になっちゃったよ! 正6面体と正8面体でも同じことが起こってる~
では、クリアビーズをパールビーズに変えて(テグスは透明にして)、ビーズの形だけを見やすくして見ましょう…
Polyhedra140903c
ほら、正6面体=正8面体、正12面体=正20面体になってますよ!
これはいったい何?
調べて見たら~… これは正多面体の双対(そうつい)のようです。

ストローで作ると正12面体と正20面体はちゃんとそれらしい形をしているのに、丸ビーズで作ると同じ形になっていしまうって不思議~!面白い~(^o^)
面白いのはそれだけじゃなくて、ストロー正多面体を触ってみると…
正4面体,正8面体,正20面体は固い(触っても形が崩れない)のですが、
正6面体,正12面体は柔らかい。
その理由は、正4面体,正8面体,正20面体の面が三角形だから→トラス構造は強い
ところが、丸ビーズでは…
正4面体,正6面体,正12面体が固くて、正8面体,正20面体は柔らかいんです!
固いのと柔らかいのが逆転した~!なぜ?

丸ビースの正12面体と正20面体をアップで観察してみましょう。
Polyhedra140903d
テグスと丸ビーズをよく見ると~
正12面体の場合、テグスは丸ビーズ5個の中を最短距離で通っています。テグスは伸び縮みしません。だから5個のビーズはこれ以外の形に変形できないのです。そして、丸ビーズ5個の中を最短距離で通ると、丸ビーズは5角形に並びます。
正20面体のテグスも丸ビーズ3個の中を最短距離で通り、3個のビーズは正三角形になっています。だから、ここの形は崩れないはずです。
丸ビーズの正20面体を触った時に動く部分は、正三角形が5個集まっている場所で、ここで丸ビーズが滑って動くんです。
正12面体の方は、正5角形が3つ集まっていますが、この部分は三角形で動くことができません。だから丸ビーズの正12面体は固いんです!

↓同様のことは正6面体と正8面体でも見てとれます。
Polyhedra140903e

↓丸ビーズの正20面体と正8面体は柔らかいので、潰れます。
Beads12_20b
Bead6_8b

え~私、正多面体工作を色々やっていると、こういう面白い発見をすることが度々あって、それで正多面体にハマってしまいました(^o^;
数学/幾何学を勉強して「双対」を知っていたのではなく、正多面体工作をした結果、これは何?と調べたら「双対」だった~という「手作業による発見」をしており、これが正多面体工作の一番の面白さですね(^o^)

※「手作業による発見」の記事
正多面体が5種類あることは石器時代の人も知っていた

※「双対」の関連記事
正多面体 面・頂点・辺の数 ←数字で見る「双対」
正多面体展示用ボード for サイエンスアゴラ2013 ←錐体鏡で見る「双対」

※あ、書き忘れてる…
『ほら、正6面体=正8面体、正12面体=正20面体になってますよ!』と書きましたが、
正12面体=正20面体になったわけではなく、この2つは丸ビーズで作るとどちらも「20・12面体」になります。20・12面体は、正20面体または正12面体の頂点を各辺の中心まで切り落とした立体です。ストロー(辺)を丸ビーズに置き換えたら、それが「各辺の中心まで切り落とす」操作と等価になってるんですね。
同様に、正6面体=正8面体になったわけではなく、この2つは丸ビーズで作るとどちらも「立方八面体」になってます。

まぁ、簡単に言うと…
20・12面体は正20面体と正12面体のあいのこで、
立方八面体は正6面体(立方体)と正8面体のあいのこです。
そして(ここからは簡単じゃありませんが)、20・12面体と立方八面体は「準正多面体」です。
正多面体はすべての面が同一の正多角形ですが、
半正多面体は2種類以上の正多角形で構成されます。
半正多面体のうち、辺の近傍が合同な、立方八面体と20・12面体は正多面体で、正多面体よりランクが上のようです。
私は「辺の近傍が合同な」というのがどういうことなのか分からない(^^;;
立方八面体と20・12面体は他の半正多面体より美しく「準ミス」みたいなもんなのでしょう(^o^;



※2020/11/28 コメントで質問があったので、画像を添えて回答を補足しておきます。
ストロー3本で三角形ができます。
S3
ストローは三角形の「辺」になります。
このストローを丸ビーズに変えると…
S3bS3c
丸ビーズは三角形の「頂点」になります。
これが「各辺の中心まで切り落とす」操作となります。
そして、面白いことに三角形の向きが逆転しています。

このあたりの「なぜ?」は「幾何学」の問題ではなく、「認知心理学」の問題なのだと思います。
3つの円/球体が集まっていたとき、円/球の中心を結んで三角形だと認識してしまうのはなぜでしょう?
細長いストローを太さのない直線とみなしたり、
一つの円/球ではそんなことしないけど、いくつかの円/球が集まってると、それぞれの円/球を大きさのない点にしてその間を線で結んでいる… という認知のしくみはどうなってるのでしょうね?

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コメント

こんばんは。。◕‿◕。

ちょっと質問というか確認ですが…。

ストロー(辺)を丸ビーズに置き換えたら、それが「各辺の中心まで切り落とす」操作と等価になってるんですね。
同様に、正6面体=正8面体になったわけではなく、この2つは丸ビーズで作るとどちらも「立方八面体」になってます。

とありましたが、ストロー(辺)を丸ビーズに置き変えることで、丸ビーズは頂点になる なったと見て良いということですよね?

おはようございます(・-・o)
ハクさん、その通りです。
記事の最後に画像を添えて回答を補足しておきました。

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