(飛ぶ種)アルソミトラの種子の模型…発泡スチロール製
(飛ぶ種)アルソミトラの種子の模型を「飛ぶおもちゃ」ではなく「本物に似た模型」になるように研究?を重ね… ついにできました~!
上が本物、下が模型。「本物に似た模型」で、まぁそれなりに飛びます。
発泡スチロール・ブロックをスライスして、種には本物をスキャンして厚紙に印刷したものを貼り付けています。
↓科学イベント/教室などで見かけるアルソミトラの種子の模型は…
↑こんなの「種子の模型」じゃない!「飛ぶおもちゃ」になっちゃってますよ~(^^;
では、本物に似たアルソミトラの種子の模型の作り方を説明します。
▽まずは、発泡スチロール・ブロックを薄~くスライスします。ここが最大の難関。
発泡スチロール・スライサーを自作して、スライスします。
詳細は→発泡スチロール・スライサー(アルソミトラの種子の模型を作るために…)
▽アルソミトラの翼果の型紙を印刷します。
←このPDFを印刷してアルソミトラの翼果の形に切ります。
▽発泡スチロール・ペーパーにアルソミトラの翼果の型紙を重ねて切ります。
最初、この様に使おうかと思っていたのですが、これじゃ苦労してスライスした発泡スチロール・ペーパーがもったいないね~
お~こうすれば2枚切り出せます(^^)v
※しかし、この状態で切るのは子供には/大人にも難しいということが判明したので改良しました…
→発泡スチロールのスライスをアルソミトラの種子の形に切るために…
▽アルソミトラの種を厚紙に印刷します。
←このPDFを厚紙に印刷します。
アルソミトラの種=翼果のバランス重りとなるので、それなりの重さになるように工作用紙程度のボール紙(0.5mm厚)に印刷してみたのですが…
左側の様に、ボール紙に印刷すると紙がインクジェットプリンターのインクを吸収してしまい、ボケた薄い色になってしまいました(^^;
ならば、本物に似たキレイな発色になるように…光沢プレミアム厚手(0.28mm)に印刷したのが右側です。
※これも効率よく切るために…→アルソミトラの種子の模型の「種」を効率よくカットするノウハウ
▽アルソミトラの種を切り取り、両面テープで貼り付けます。
よし、出来た~と、さっそく飛ばして(落として)みると…
ひらひら~ あれ?飛ばない(^^;
翼果がひらひら落ちるのは種が軽いからなので、裏側にももう一枚 種を貼り付けます。
種を発泡スチロール・ペーパーの表裏に貼り付ける←これはなかなかイイです!
何がイイのかと言うと~ 本物もそうなってるからです。
←本物
←模型
かなり似てるでしょ(^^)v
アルソミトラの翼果は、翼の薄い部分を種が上下から挟む様な構造になっているんです。
厚さを測ってみると…
本物…翼:0.1mm 種:1.9mm
模型…翼:0.4mm 種:1.3mm でした。
よし、今度は飛ぶかな? 飛ばして(落として)みると…
ストンと落ちます(^^;
あ~これは!発泡スチロール・ペーパーが真っ平らなのが原因です。
対策方法はコレです→(飛ぶ種)アルソミトラの種子の模型でバイオミメティクス
左側:発泡スチロール・ペーパーにシワを寄せて凸凹にしました。
右側:スライスして切っただけのフラットな翼果の模型
(画像ではその微妙な違いが分からないかもしれませんが、左側は凸凹なんです)
で、左側のシワを寄せて凸凹にした翼果の模型を飛ばして(落として)みると…
ふわ~っと滑空しました(^o^)
▽アルソミトラの翼果の模型は、飛ばすのではなく、落とします。
アルソミトラの翼果を飛ばす場合、×のように水平に持って前に押し出して(飛行機のように)飛ばすのは、「それはチョット違うよ~」と思います。本物のアルソミトラの翼果は実から落ちるだけです。水平に前に押し出されたりはしません。
だから○のように翼果の後縁をつまんで下に向け、手を高~く上げて、指を離す。それだけです。
アルソミトラの翼果が実から落ちたとき、翼表面の凸凹により小さな渦ができます。この渦により、翼果が右か左かに傾き、それで水平飛行に移るんですね!たぶん
翼表面の凸凹は揚力を増すという働きがあるのですが、それだけじゃなくて、落ちる翼果を水平飛行させる働きもあったんですね~!←今日の発見(^o^)
発泡スチロール・ペーパー製アルソミトラの模型を飛ばすとき、飛行機を飛ばすように水平に持って前に押し出していたのは、翼に凸凹がないのでそうしないと水平飛行出来なかったからなのか~!
翼に凸凹のない模型でも水平に押し出したら、ふわ~っと滑空しました。
ん、見た目だけでなく、構造的にもかなり本物に似た模型になったと思います(^o^)
▽アルソミトラ・マクロカルパ(Alsomitra macrocarpa)ってどんな植物?
こちらをご覧下さい。
⇒アルソミトラってどんな植物?|芝未来科学館『飛ぶタネの模型を作ろう~タネはどこからきたか?考えてみよう~』の準備
※このアルソミトラの種子の模型を作るにあたり、アルソミトラの種子(実物)は科学体験クラブ府中の三浦さんから借りました。また三浦さんには「こだわりの」監修をしていただきました。その「こだわり」…
●木の実好きのつぶやき…
「飛ぶ種」の科学工作として「アルソミトラ」や「フタバガキ」がポピュラーです。でも、その科学工作としての取り上げ方が、「種子」としてではなく、「飛ぶおもちゃ」になってしまっているケースがあり、木の実大好き人間として、そのことがちょっと残念です。
飛ぶ種の模型作りで、「種子には何でこんなにいろんな形があるのかな?」って、子供たちに語りかけ、考えさせる機会にして欲しいな~って思います。
また、模型だけだと「飛ぶおもちゃ」になってしまいますから、実物も用意して「これが本物だよ。比べて見てごらん。」って、実物を観察する機会も与えて欲しいものです。
※アルソミトラの種子の模型を発泡スチロールで作るオリジナルは、 アルソミトラ - Wikipediaの参考文献にリンクされていた次の文献と思われます。
⇒萩原 信介「アルソミトラ マクロカルパの種子の模型製作(PDF)」
『自然教育園報告』第23巻、国立科学博物館、1992年3月、11-20頁
この文献の9ページ「実施上の配慮」が特に重要で、アルソミトラの種子の模型作りを指導する人達には是非読んでいただきたいので、以下に引用させていただきます。
『楽しい模型作りもややもすると,紙ヒコーキ作りに終わってしまうことがある。大切なことは種子の散布が植物の側からなぜ必要であるのかと言うことを,制作者に考えてもらうことである。また多様な種子散布の方法の一つとして,この特異的な飛行をするアルソミトラの模型作りを位置づけることを念頭に置かなければならないだろう。そのためにはアルソミトラの模型作りだけではなく,身近なマツやアベリアなど,いろんなタイプの種子標本を見せ,実際に落下実験をしたり,吉良(1971)のマツの種子の模型をはじめとして,他の種子模型の制作も併せて行うことも一つの方法であろう。』
はい、この「実施上の配慮」と「木の実好きのつぶやき…」を目一杯考慮しました~
→東芝未来科学館『飛ぶタネの模型を作ろう~タネはどこからきたか?考えてみよう~』の準備
※NHK for School 考えるカラス~科学の考え方~
この番組、『観察し 仮説を立て 実験し 考察する』という番組です。今までの学校番組のような「教える」番組ではありません。そこが素晴らしい!と非常に共感している私ですが、アルソミトラの種子の模型で、凸凹のないフラットな翼だとストンと落ちてしまう。なぜだろう?
本物のアルソミトラの種子を『観察し』 模型を作る過程で『仮説を立て 実験し 考察する』というプロセスを私は実践してますよね。
『実物も用意して「これが本物だよ。比べて見てごらん。」って、実物を観察する機会』を与えるだけじゃなく、なぜアルソミトラの翼は凸凹になってるんだろう?って、実験し考察することも出来ますね!
発泡スチロール・ペーパーからアルソミトラの翼果を2枚切りだし、凸凹あり/なしで、その飛び方を比べることができますよ~←これはイイ!
2014/07/27(日) 東芝未来科学館の
【リカタンず】 飛ぶタネの模型を作ろう~タネはどこからきたか?考えてみよう~ で、これをやろ(^o^)
やってきました→東芝未来科学館『飛ぶタネの模型を作ろう』で小学生と『バイオミメティクス』
※関連記事
2023/08/28 ハチラボ夏休みワークショップ『風と旅するタネの模型作り』…SDGsと生物多様性のお話も
2014/07/11 発泡スチロール・スライサー(アルソミトラの種子の模型を作るために…)
2013/09/16 (飛ぶ種)アルソミトラの種子の模型でバイオミメティクス
2013/08/05 (飛ぶ種)フタバガキの種子の模型…こう説明するんだった~
2013/06/15 考えるカラス(NHK for School)…これは素晴らしい科学番組だ~!
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