東芝未来科学館『飛ぶタネの模型を作ろう』で小学生と『バイオミメティクス』
2014/07/27(日) 東芝未来科学館の
【リカタンず】 飛ぶタネの模型を作ろう~タネはどこからきたか?考えてみよう~ で講師をやってきました。またまた楽しかった~(^o^)
開催は1日3回…
10:30~11:30 小学1年生~3年生 24名(数名欠席)
13:00~14:00 小学1年生~3年生 24名(数名欠席)
14:30~15:30 小学4年生~中学生 24名(満席+1)
実施内容はほぼ想定通り→東芝未来科学館『飛ぶタネの模型を作ろう~タネはどこからきたか?考えてみよう~』の準備
でも、やはり、「身近にある飛ぶ種の観察」、「フタバガキの模型」と「アルソミトラの模型」作りで、ほぼ時間いっぱい。
でも今回、絶対これは外せない!のが「フタバガキってどんな植物?」「アルソミトラってどんな植物?」と「種子散布」
1回目と2回目(小学1年生~3年生)のときは残り5分になって、やっとそのお話ができた(汗;)
でも3回目は(小学4年生~中学生)なので、進み方がちょっとスムーズ。終了3分前に「種子散布」のお話までした。
お!これは「バイオミメティクス」のお話ができる~(^o^)v
そして終わってから、私のところに来た男の子が…「バイオミメティクスの痛くない注射針のことなんですけど、ぼく去年この指先に痛くない注射針を打たれました。本当に痛くなかった!」って話してくれました。さらに「クモの糸ってほんとに丈夫なんですね。この前テレビでクモの糸で自動車を吊り上げる実験をしてました。前輪しか浮き上がらなかったけど…」とう話もしてくれました。
「ん、ん、バイオミメティクスって凄いよね~!」とニコニコ顔で相づちをうってる私(^_^)
ヨシ!これで、この子の「バイオミメティクス」への関心は急上昇だ~!
もう一人、男の子が「もう一度バイオミメティクスの例のスライドを映してもらえますか」と言ってきた。
「これ、写真撮ってもいいですか?」「ん、いいよ」
バイオミメティクスの例
・フクロウの風切り羽の消音効果⇒新幹線のパンタグラフ
・カタツムリの殻の防汚効果⇒雨水で汚れが落ちやすい外壁
・サメ肌⇒競泳用水着
・蚊に刺されても痛くない⇒痛くない注射針
・トンボの飛翔能力⇒エネルギー変換効率のよい風車
・ヤモリの足⇒強く接着するけど簡単に剥がせるテープ
・クモの糸⇒細くて丈夫な糸
↑このスライドに目を付けるとは… なかなか目の付けどころがいいね!
夏休みの自由研究のネタになるよね~
「バイオミメティクス」の話までできたのは3回目の高学年対象のときだけでしたが、「バイオミメティクス」に興味を示す小学生がいるということが分かっただけでも成果です。 スライドを用意しておいた甲斐があったね(^^)v
あ~、時間を3分超過してもいいから「土壌シードバンク」のお話もしておけばよかったかな?←いや、文字だけのスライドだし、「バイオミメティクス」に続いて「土壌シードバンク」も出したら、???となって、どちらも忘れ去られる可能性がありますね。
「バイオミメティクス」は、アルソミトラの翼をシワシワにしたこととリンクして記憶に残るけど、「土壌シードバンク」は飛ぶタネの模型工作とはリンクしないからな~
「バイオミメティクス」だけでよかったと思う。
あ、そうそう、アルソミトラの翼果の飛ばし方を説明するところで…
アルソミトラの翼果は水平に押し出すのではなく、下を向けて落とすだけ。
なぜそうするのか?→実際のアルソミトラの翼果は、実から落ちるだけです。
…という説明の他に、アルソミトラ君の代弁もしてきました~
「アルソミトラの翼果はグライダーのように飛ぶと言われますが、
アルソミトラはグライダーのようには飛びません。
グライダーがアルソミトラのように飛んでいるのです。
人間がグライダー/飛行機を発明するよりずーーっと昔から、アルソミトラの翼果は飛んでいました。」
…飛ぶタネの模型作りを指導される皆様へ…
このことを頭の片隅に置いて、アルソミトラの翼果の説明をしてくださいませ m(_ _)m
真似をしているのはグライダー=人間の方なのです。
そして、生物の構造や機能を真似してものつくりに活かすことを「バイオミメティクス(biomimetics 生物模倣/生体模倣)」と言うのです。⇒バイオミメティクス - Wikipedia
注:グライダー/飛行機の翼断面は「上が膨らんだ流線型」で、これはバイオミメティクスではありません。
参考リンク⇒飛行機の形を読んでみませんか? その6 飛行機の形、生物の形|三菱重工 交通・輸送ドメイン 航空機事業
アルソミトラの翼果の模型でバイオミメティクスしたのは、翼果の表面のシワシワを真似ることでした。
※本物を観察して真似ること…
フタバガキの種の模型を作って飛ばすとき↓このスライドを出しておきました。
「模型がうまく飛ばないときは、本物をよ~く観察しましょう。」
一番前の席にいた女の子で、フタバガキの種の模型を私の目の前で投げ上げていて、あまりクルクル回らない。
私、これまでにフタバガキの本物/模型を百回以上は投げ上げて、どういう形のときによく回るかが分かっているので、その子の模型が回らない理由も見ていて分かる。
で、以前だと「どれどれ、ちょっと見せて…」と私がよく回るように調整してしまうことが度々だったのですが、今回は上のスライドも出してることだし、暫く見守る…
すると、その子はスライドのフタバガキの形を見て、自分の模型の翼のカール具合を調整し始めたのである。「ん、そうそう!そういう形だよ」って心の中で応援(^o^;
そして、その子が本物を真似て形を調整した模型を投げ上げると~
今度はクルクルとよく回りました(^o^)v
ヨシ!これで、この子は「よく観察すること」による小さな成功体験をしたね(^_^)
※紙のフタバガキの羽をカールさせるとき「親指の爪を立てて紙をしごきます。」と説明したのですが、この「紙をしごく」という動作が分からない子がいたとのこと。ん~小さい子に説明するときは、自分が普段何気なく使っている言葉でも、その言葉を知らないことがあるってことを意識して言葉を選ぶか、言葉で通じない時は実演して見せるという配慮が必要なんですね~
あ、思い出した。もう一つトピック…
3回目が終わった後に質問しに来た3人目の男の子…「種子散布」に関して「キノコはどうなんですか?」という質問。お~イイ質問ですねぇ!
実は内心ドキッ!的確な回答ができるか? 植物に関しての私のたいしたことない知識を総動員して回答…
キノコはね「菌類」で種子を作らないの。「種子散布」で説明したのは「種子」を作る植物「種子植物」の散布方法の分類なの。キノコは「胞子」を飛ばして増えるよね。
種子植物が種を作るには「花粉」を雄しべから雌しべへ「受粉」する必要があるよね。花粉も風で運ばれたり(それで花粉症になったり)、昆虫が運んだりするよね。花粉の運び方も色々あるけど、これは「種子散布」とはまた別のものなんだ。
…というような回答をしました。質問した子は「ん、ん…」って頷いていたから、まぁ納得してくれたと思います。
あ~!!キノコって植物じゃないんだ!
上の説明をしているとき、私の頭の中は キノコ ⊂ 植物 でした。
「菌類」と説明しているが、山に生えていて食べられるから植物というイメージでした(^^;
Wikipediaによりますと…
菌類 … ドメイン:真核生物, 界:菌界
種子植物 … ドメイン:真核生物,界:アーケプラスチダ, 亜界:
緑色植物亜界
何ですか「アーケプラスチダ」って? 「緑色植物亜界」はなんとなく分かりますが。
とにかくキノコ:菌類と種子植物は生物分類の「界」のレベルで違うんですね!と、今更ながらに認識しました。
キノコ - Wikipediaによりますと…『キノコ(茸、菌、蕈)とは、菌類のうちで比較的大型の子実体を形成するもの、あるいはその子実体そのものをいう俗称で厳密な定義があるわけではないが、植物とは明確に異なる。』…だそうです。
※関連記事(このイベントには力が入っていたので関連記事が多いです(^^)
・発泡スチロール・スライサー(アルソミトラの種子の模型を作るために…)
・(飛ぶ種)アルソミトラの種子の模型…発泡スチロール製
・東芝未来科学館『飛ぶタネの模型を作ろう~タネはどこからきたか?考えてみよう~』の準備
・アルソミトラはグライダーのように飛びません
・(飛ぶ種)アルソミトラの種子の模型作りで、本物に触る
・(飛ぶ種)フタバガキの種子の模型作りで、本物に触る
・飛ぶ種の模型作りで色々な木の実に触れる…東芝未来科学館にて
・アルソミトラ・マクロカルパの種子の重さは約0.3g
※「キノコ」の関連記事
・『役に立たないきのこの小部屋』博物ふぇすてぃばる!でサイエンスコミュニケーション
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