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2014年6月29日 (日)

雹(ひょう)に当たって死亡することってあるの?

答え:あります。



以下、詳細…
2014/6/26(火)東京都三鷹市で雹(ひょう)が降って、しかも雹が7㌢も積もったそうですが、一昨日の飲み会で三鷹の雹の話題になりまして、「雹に当たって死亡することってあるの?」という疑問が出て(その場でスマホで検索する人がいなかったので)各自勝手な推測を言い合って盛り上がっちゃいました(^o^;
で、今日、その疑問について検索してメーリングリストに投げてきた律儀な友人がいまして、その答えのページが以下…
雹で人って死なないのですか?|Yahoo!知恵袋
雹による被害|Wikipedia
…ということで、卵大(直径5cmクラス)の雹に当たって死者が出てますね~

飲み会の時の私の勝手な推測…
雨に当たっても死ぬことはないよね。雨も雹も同じ高さ(雲)から落ちてくるよね。雲から落ちてくる雨/雹はどんどん加速するわけではなく、空気抵抗との釣り合いでやがて一定の速度になります。これを終端速度と言います。
雨粒と雹じゃ質量はたいして違わないから(←飲み会の席ですのでアバウトです(^o^;)
雨と雹の終端速度もたいして違わず、雹に当たって死ぬことはないんじゃね?
三鷹の雹のニュースでも怪我人が出たって話は聞いてないし~

はい、酔っ払いの間違った推測でした(^o^;
え~、では雹の終端速度を調べて見ましょう。※1
関東地方における雹の被害|防災コラム によりますと…
直径2cmの雹粒の終端速度は秒速16m
直径5cmの雹粒の終端速度は秒速33m(時速120km)
直径0.5cmという大粒の雷雨の落下速度は秒速10m
…ということで、雨粒と雹(卵大:直径5cm)の終端速度はかなり違いますね。
さてここで、終端速度だけを比較してはダメです。
直径0.5cmの大粒の雨:10m/s と、直径5cmのデッカイ雹:33m/s は3倍強の違いでしかありません。
雨粒に当たっても死なないから、その3倍の速度の雹に当たって死ぬと思います?
雨/雹が人体に当たったときの影響は、その運動エネルギーで比較する必要があります。
運動エネルギーは質量に比例し、速度の二乗に比例します。
直径0.5cmの大粒の雨:10m/s と、直径5cmのデッカイ雹:33m/s を比較すると、
質量は、雨(水)も雹(氷)も単位質量は同じとして、体積(直径の三乗)を比較すると…
0.5^3=0.125 対 5^3=125 で1000倍
速度の二乗は、10^2=100 対 33^2=1089 で約11倍
…ということで、運動エネルギーでは11,000倍にもなります。
大粒の雨が顔に当たるとちょっと痛いぐらいに感じることがありますから、その1万倍もの運動エネルギーを持った雹が頭に当たったら・・・
皆様、雹が降ってきたら屋根の下に避難しましょう。
ちなみに直径2cmの雹の運動エネルギーは大粒の雨の約164倍です。

※関連記事
2014/6/13 12:10 東京都府中市で雹(ひょう)が降った~ 氷の粒の最大直径2cm
Hyo20140613a Hyo20140613b
雹(ひょう)と霰(あられ)の違い… じゃ、雪は?


※1 『え~、では雹の終端速度を調べて見ましょう。』について…
高校3年生のときの私なら、運動方程式を立てて計算することができたのですが… その後デジタルな世界に進んでしまい、微分積分が必要になることがなかったので、とうの昔に微分積分計算ができなくなっている私(^^;
でも、自分で計算できなくても検索すれば答えが見つかる。いい時代になったものですね~
あ、でも検索して見つけた情報が正しいかどうかを見極める「インフォメーション・リテラシー」は必要ですよ。


※2020/10/21追記 直径5cmを超える雹がバリバリと落ちてきて、ボールのように飛び跳ねる! すごい動画がありました。車のボンネットはベコベコ、フロントガラスはバリバリ💧💧
Very Large Hail (“Hail”は「雹」)

この雹が降ったのはどこ? in Woodson, TX アメリカ合衆国 テキサス州…
「アメリカ テキサス州 雹」で画像検索すると… スゲーーー😱


※2021/06/16追記 なぜ雹はこんなに大きく成長するのでしょう?
荒木健太郎さんのツイート@arakencloud が分りやすいので以下をご覧ください。

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コメント

液体はぶつかったらエネルギーが周りに飛び散って拡散するし、質量が同じでも当てられた側の衝撃は固体と全然違うかと。学校で習ったことだけで偏って考えて、感覚的に当たり前にわかるような事もわからなくなってる人よくいますね

↑こういうコメントは削除しようかな~と思ったんですが、
液体がぶつかった場合と、固体がぶつかった場合の違いは考慮してなかったし…
この記事では、そこんとこを考慮してないことを注記しておいてもいいかな。
でも上記のコメントで「同質量、同速度の液体と固体がぶつかった場合の衝撃の違いについては、こちらに解説されています。」とか教えてくれると役に立ったんですけどね。
「感覚的に当たり前にわかるような事」でも定量的に調べてみることが大事だと思います。

返信ありがとうございます。
意見として言ったのは「質量が同じ液体と個体がそれぞれぶつかった時の影響(衝撃)を同等と考えるのは間違いだし、それはだれでも感覚的にわかることだよね」ということで、
なぜそういった事を言ったかというと、一般的に科学的な説明とかで知ってる知識だけにかたよって的外れな結論を出しているような説明を多く見てきたからです。
(そういった一般的な傾向について個人的に思ったことを書いただけで、このページに個人的にケチをつけたいとか、正しくはこうだとかそういうことを言いたかったのではありません。)
間違いは訂正すればいいだけですし、悪意はないものと理解頂ければと思います。

悪意がなかったとしても、相手に不快感を与えるような言い方になっているのは確かです。
マナーの問題ですね。
それこそ、感覚的に当たり前にわかるような事だと思うのですが。

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