雹(ひょう)に当たって死亡することってあるの?
答え:あります。
以下、詳細…
2014/6/26(火)東京都三鷹市で雹(ひょう)が降って、しかも雹が7㌢も積もったそうですが、一昨日の飲み会で三鷹の雹の話題になりまして、「雹に当たって死亡することってあるの?」という疑問が出て(その場でスマホで検索する人がいなかったので)各自勝手な推測を言い合って盛り上がっちゃいました(^o^;
で、今日、その疑問について検索してメーリングリストに投げてきた律儀な友人がいまして、その答えのページが以下…
⇒雹で人って死なないのですか?|Yahoo!知恵袋
⇒雹による被害|Wikipedia
…ということで、卵大(直径5cmクラス)の雹に当たって死者が出てますね~
飲み会の時の私の勝手な推測…
雨に当たっても死ぬことはないよね。雨も雹も同じ高さ(雲)から落ちてくるよね。雲から落ちてくる雨/雹はどんどん加速するわけではなく、空気抵抗との釣り合いでやがて一定の速度になります。これを終端速度と言います。
雨粒と雹じゃ質量はたいして違わないから(←飲み会の席ですのでアバウトです(^o^;)
雨と雹の終端速度もたいして違わず、雹に当たって死ぬことはないんじゃね?
三鷹の雹のニュースでも怪我人が出たって話は聞いてないし~
↑
はい、酔っ払いの間違った推測でした(^o^;
え~、では雹の終端速度を調べて見ましょう。※1
⇒関東地方における雹の被害|防災コラム によりますと…
直径2cmの雹粒の終端速度は秒速16m
直径5cmの雹粒の終端速度は秒速33m(時速120km)
直径0.5cmという大粒の雷雨の落下速度は秒速10m
…ということで、雨粒と雹(卵大:直径5cm)の終端速度はかなり違いますね。
さてここで、終端速度だけを比較してはダメです。
直径0.5cmの大粒の雨:10m/s と、直径5cmのデッカイ雹:33m/s は3倍強の違いでしかありません。
雨粒に当たっても死なないから、その3倍の速度の雹に当たって死ぬと思います?
雨/雹が人体に当たったときの影響は、その運動エネルギーで比較する必要があります。
運動エネルギーは質量に比例し、速度の二乗に比例します。
直径0.5cmの大粒の雨:10m/s と、直径5cmのデッカイ雹:33m/s を比較すると、
質量は、雨(水)も雹(氷)も単位質量は同じとして、体積(直径の三乗)を比較すると…
0.5^3=0.125 対 5^3=125 で1000倍
速度の二乗は、10^2=100 対 33^2=1089 で約11倍
…ということで、運動エネルギーでは11,000倍にもなります。
大粒の雨が顔に当たるとちょっと痛いぐらいに感じることがありますから、その1万倍もの運動エネルギーを持った雹が頭に当たったら・・・
皆様、雹が降ってきたら屋根の下に避難しましょう。
ちなみに直径2cmの雹の運動エネルギーは大粒の雨の約164倍です。
※関連記事
・2014/6/13 12:10 東京都府中市で雹(ひょう)が降った~ 氷の粒の最大直径2cm
・雹(ひょう)と霰(あられ)の違い… じゃ、雪は?
※1 『え~、では雹の終端速度を調べて見ましょう。』について…
高校3年生のときの私なら、運動方程式を立てて計算することができたのですが… その後デジタルな世界に進んでしまい、微分積分が必要になることがなかったので、とうの昔に微分積分計算ができなくなっている私(^^;
でも、自分で計算できなくても検索すれば答えが見つかる。いい時代になったものですね~
あ、でも検索して見つけた情報が正しいかどうかを見極める「インフォメーション・リテラシー」は必要ですよ。
※2020/10/21追記 直径5cmを超える雹がバリバリと落ちてきて、ボールのように飛び跳ねる! すごい動画がありました。車のボンネットはベコベコ、フロントガラスはバリバリ💧💧
Very Large Hail (“Hail”は「雹」)
この雹が降ったのはどこ? in Woodson, TX アメリカ合衆国 テキサス州…
「アメリカ テキサス州 雹」で画像検索すると… スゲーーー😱
※2021/06/16追記 なぜ雹はこんなに大きく成長するのでしょう?
荒木健太郎さんのツイート@arakencloud が分りやすいので以下をご覧ください。
雹はマルチセルという積乱雲内で成長することが多くあります.マルチセルは不安定な大気の状態で地上と上空で風がズレているときに発達し,雲内に上昇流と下降流がいくつも存在します.すると雲内で成長して落下する霰が積乱雲の上昇流で上空に持ち上げられ,上下運動を通して大粒の雹に成長します. pic.twitter.com/KJPdq0lcqi
— 荒木健太郎 (@arakencloud) July 18, 2017
雹を輪切りにした写真がこちらです。雹は、積乱雲の中で成長して落下する霰の表面が0℃高度より下で融解→積乱雲の上昇流で0℃高度より上空に再び持ち上げられて再凍結→雲粒捕捉成長して落下の繰返しで成長します。そのため樹木の年輪みたいな層構造があります。『すごすぎる #天気の図鑑 』より。 pic.twitter.com/8tYyLtuq9Y
— 荒木健太郎 (@arakencloud) May 2, 2021
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