宇宙エレベータのスケール感
「宇宙エレベータ」で画像検索すると…
多数のイラストが出てきます。でもこれらのイラストを見て宇宙エレベータのスケールを感覚的に理解することは難しいでしょう。宇宙エレベータの高さを示す図は地球や静止軌道ステーションなどの構造物がデフォルメして示されているので、その巨大さが実感できないんです。
宇宙エレベータを一般の人々に語るときには(あ、私も一般の人ですけど(^^;)宇宙エレベータのスケール感を把握してもらうことが重要だと思います。
で、そのためのツールが→地球と月の距離と大きさのスケール感
「地球と月の距離と大きさのスケール感」は、1億分の1の地球と月を3.8m(38万km)のひもでつないで『わ~!月ってそんなに遠いんだ~w(*゚o゚*)w』と実感してもらうためのツールなんですが、同時に以下の4つのスケールを示すことができます。
① 国際宇宙ステーションの軌道高度:約400km ←え、そんなに低いの?!
② 静止衛星の軌道高度:約36,000km ←あ、そんなに高いんだ~(地球 約3個分の距離ですから)
③ 宇宙エレベータのカウンター質量(アンカー):約10万km
④ ラグランジュポイント L1:地球の重心からL1まで 326,000km
「地球と月の距離と大きさのスケール感」では地球の周りに①国際宇宙ステーションの軌道高度が描いてあります。②③④については、地球と月をつなぐひもの上に印をつけておきます。(私の場合、小さなビーズをつけておきました。)
その位置をこの画面に収まる約25億分の1のスケールで示すと↓こうなります。
このスケールでは国際宇宙ステーションの軌道高度は地球の円周の線にくっついてしまうので、示していません。
「宇宙エレベータ」で画像検索したイラストの中には、静止軌道から見た地球ではなく、国際宇宙ステーション程度の軌道から見た地球が描かれているものがあり、こういうイラストを見て宇宙エレベータをイメージするとスケール感を誤ります。
「地球と月の距離と大きさのスケール感」のようなツールを使うと、宇宙エレベータの正しいスケール感を一般の人たち(私も含む)に伝えることができます。←私も自分でこれを作って「静止軌道ってこんなに高くて、宇宙エレベータってこんなにデカいのか~!」って、やっと感覚的に理解できましたもん(^o^)
サイエンスアゴラ2013『正多面体って以外と面白い…作ってみよう』では、正多面体 → 正8面体 → コーナーキューブリフレクター → アポロが月に置いてきた物 → 地球と月の距離と大きさのスケール感 → 宇宙エレベータのスケール…という流れでお話をしました。
この話を聞いていた二人の女子高生。「宇宙エレベータ」という言葉が出てきたときに、「さっき宇宙エレベータの展示を見てきました」と言って頷いてましたが、宇宙エレベータのスケールを理解したら…「あ~、こっちの話をきいてから、あっちを見に行けば良かった~」って言ってました。
軌道エレベーター―宇宙へ架ける橋(ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 石原藤夫・金子隆一 著 ←お薦めの書です。表紙カバーのイラストは(ちゃんと)静止軌道から見た地球です。「宇宙エレベータ」で画像検索したイラストの中には、静止軌道から見た地球ではなく、国際宇宙ステーション程度の軌道から見た地球が描かれているものが多すぎます。
あれ?このイラスト⇒宇宙エレベーターとは|宇宙エレベーター協会 静止軌道から見た地球のスケールじゃないんですけど・・・(このイラスト、静止軌道ステーションを描いてるんですよね? この形、クライマーじゃないですよね?)
※宇宙エレベータは夢物語ではありません。
⇒JSEA 一般社団法人 宇宙エレベーター協会
⇒宇宙エレベーター建設構想を動画で紹介|最新情報|株式会社大林組
※サイエンスアゴラ2013のリポート
2013/11/09 サイエンスアゴラ2013『楽しかったです』その一言が一番のご褒美です
2013/11/10 サイエンスアゴラ2013で面白かったもの
※宇宙エレベータのお話をしたイベント
2009/09/23 みたか太陽系ウォーク「万華鏡から宇宙エレベータまで~正多面体の不思議~」
※宇宙エレベータを扱ったSF
楽園の泉 (ハヤカワ文庫SF) アーサー・C・クラーク著 ←古典的名著です。私はこれを読んで、軌道エレベータのアイディアに圧倒されました。
天体の回転について (ハヤカワ文庫 JA コ 3-3) 小林泰三 著
「天橋立(あまのはしだて)」=宇宙エレベータを建造した人々は星々の彼方に去り、残された人々の中の変わり者の俺は… というお話。ん~こういうお話イイ! スケール感も科学的に正しくスゴい。表紙カバーのお姉さんが宇宙エレベータのガイドさん(^_^) バーチャルですけど… そのバーチャルな存在にほのかな想いが・・・
※この記事の後に書いた関連記事
2014/12/04 はやぶさ2の目標天体 1999 JU3 は炭素質コンドライト⇒宇宙エレベーター建設の下調べ?
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