サイエンスアゴラ2013で面白かったもの
サイエンスアゴラ2013 11月9日(土)国際交流館1Fで
『正多面体って以外と面白い…作ってみよう』で出展し、そのリポートが…
→ サイエンスアゴラ2013『楽しかったです』その一言が一番のご褒美です
で、11月10日(日)は見学に行ってきました~
その中で面白かったものをリポートしておきます。(終日出展のブース出展だけ見て来て、時間枠出展のサイエンスショー等は見ていません。)
→Ea-412 世界は磁石でできている!?ものの磁性を考えよう!!
→Aa-010 驚くべきゴムの世界!3つの不思議を体感せよ
→Aa-053 気象予報士とお天気実験!
→Aa-027 新元素を発見しよう! ~アジア初の命名権獲得へ!?
→Aa-047 脳科学を支えるニッポンの技術
→Aa-118 図形と空間の不思議~敷き詰め模様で遊ぼう!
→Fa-503 地上の太陽・核融合エネルギー
●Ea-412 世界は磁石でできている!?ものの磁性を考えよう!!
東京大学サイエンスコミュニケーションサークルCAST
▽ガウス加速器
お、直線レールじゃなくて、円形レールにしたのか!
鉄道模型のレールを使ってるとこが[いいね!]
「ネオジム磁石の手前の鉄球を外して鉄球列の先端に付け、もっと加速させたら2回転する?」
「え~2回転はするんですけど、それをすると早すぎて、ネオジム磁石が割れちゃうんですよ。」 へ~そりゃ面白い(^^)
※100円ショップの薄型ネオジム磁石を使っているから割れちゃうのかな?
私が昔~ガウス加速器の実験をしたときは、6段加速してもφ10mmのネオジム磁石は割れませんでした。→新町文化センターマックカーニバル「ガウス加速器」
▽磁力線をハサミで切る
これもいいアイディアだね。
これをやる前に磁力線を可視化して磁力線がどんなものかを示しておくと、見えない磁力線を切るときの理解が深まると思うよ。
参考までに→磁力線を見てみよう
▽鉄を加熱すると強磁性が消える:キュリー点
鍋の前にワニ口クリップに挟まれてぶら下がっているのはニクロム線のコイル。
鍋の内側には磁石があって、最初はニクロム線が鍋の底にくっついていたのだが、ニクロム線を過熱してキュリー点を超えたら強磁性がなくなって磁石にくっつかなくなった。という実験
↑こういう資料を用意して、現象を科学的に説明しているところが[いいね!]
※今年になって3回ほどCASTの出展を見る機会がありましたが、どこでも科学的な説明をきちんとやっている。そこがイイ!
※いえね、こういう科学イベントで「工作して、それっきり。科学的な説明ナシ」という出展を時々見かけることがあるので…「科学イベントなんだから、科学的な説明はちゃんとしてよ~!」と思うことがあります。
子供にも分かるように説明するって難しいことなんですが、サイエンスコミュニケーション活動するならその努力をしなくちゃ。
CASTはそれをちゃんとやっていて、しかもオリジナルの工夫が随所に見られるので、拍手~(^o^)
▽酸素入りシャボン玉引き寄せ:常磁性
ドライアイスが昇華して二酸化炭素の気体(酸素より重い)が溜まっているところにシャボン玉を落とすとシャボン玉が浮き、そこに磁石を近づけると常磁性の酸素が磁石と引き合う方向に磁化するので、シャボン玉が磁石の方に引き寄せられるという実験。
▽グラファイトの反磁性を利用した宙に浮く磁石
浮いているのはネオジム磁石。この写真には写っていない上の方にリング型フェライト磁石の十段重ねぐらいがありまして、それとネオジム磁石が引き合うのですが、上下に反磁性のグラファイトを置くと、フェライト磁石と引き合うけど、グラファイトとは反発して、微妙~なバランスで浮いてます。
●Aa-010 驚くべきゴムの世界!3つの不思議を体感せよ
世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI) 東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)
▽ゴムは伸ばすと暖かくなり、縮むと冷たくなる
風船を引っ張って伸ばし、それを自分の鼻の下の皮膚にあててみる。すると~「どんな風に感じた?」逆に縮めてみると~ という実験。お~これは簡単にできて、ゴムの伸縮と熱の発生/吸収の不思議を体感できるイイ実験ですね。
▽ゴムは個体?それとも液体?
「固体でしょ。」 いいえ、実はゴムは液体みたいなものなのです。
ゴムが液体なら、凍らせて固体にして、その違いを見てみましょう。という実験
▽大小2つの風船をつなげた実験
あ~この実験はアレだ!
⇒考えるカラス#5|NHK for School - NHKオンライン
蒼井優の考える練習「風船とパイプ」 ←こちらから引用させていただきます…
『パイプの両側に大きな風船と 小さな風船が付いていますが
この二つの風船はもともと同じ物です。
このパイプは中が空洞になっています。
でも ここに弁が付いていて中が仕切られています。
なので 2つの風船の中の空気は自由に行き来する事ができません。
ここをひねることで中の弁が開いて 2つの風船の中の空気が自由に行き来できることになります。
さて ここからが問題です。
この弁を開いた時 風船はどのように変化するでしょうか?
1 大きい風船がさらに膨らみ、小さい風船はしぼむ。
2 大きい風船がしぼみ、2つの風船が同じ大きさになる。
3 このまま変わらない。』
この実験の結果は「1 大きい風船がさらに膨らみ、小さい風船はしぼむ」でした。私の予想した結果と一致した。
ヒントは、自分が風船を膨らませた時のことを思い出して見ましょう。風船が小さいうちは… 風船が大きくなると~
『ここから先は自分で考えよう。これからはみんなが、考えるカラス』
※関連記事:考えるカラス(NHK for School)…これは素晴らしい科学番組だ~!
あ、この展示では答えを教えてくれましたけどね(^^;
私の考えていた答えと同じでした(^^)v
●Aa-053 気象予報士とお天気実験!
日本気象予報士会サニーエンジェルス
▽ペットボトルで雲を作る
「家でもこの実験ができますよ」と実演していたのがコレ。炭酸飲料のペットボトルにアルコールを少々入れ、シッカリ蓋をして、ペットボトルをギューっと握って、パッと手を離す。すると断熱膨張によりペットボトルの中に雲ができる~
あ、それより私が惹かれたのはこっちでした。
▽転倒ます型雨量計
シーソー型のますが0.5mmに相当する雨量でカッタン・カッタンと倒れ、その回数をカウントすることで雨量が計れる!という優れもの。
私の雨量計のイメージは、じょうごで雨水を集め、メスシリンダーに溜まった雨水の量を人が読む…だったんですが(^^; 転倒ます型雨量計では、カッタン・カッタンの回数を機械が数えて、その数値をセンターに送ればリアルタイムで雨量が分かる。あ~!それがアメダスの雨量計だったのか~
⇒転倒ます型雨量計|気象大学校仮想博物館 (動画もある)
●Aa-027 新元素を発見しよう! ~アジア初の命名権獲得へ!?
理化学研究所 仁科加速器研究センター
▽レゴブロックの核図表
サイエンスアゴラ2010で見て「こ、これは!…」と感動して撮った写真が行方不明(^^;
なので今度こそブログに載せておこうと(^^)
レゴブロックの3D核図表には私お薦めの鑑賞ポイントが3つありまして~
核図表/ハイゼンベルクの谷 鑑賞のポイント①
水素(H)の頂きからヘリウム(He)への急峻な落込みを鑑賞する。
太陽(恒星)の中での核融合反応は、この谷を落ちる滝に例えることができるんです。
核図表/ハイゼンベルクの谷 鑑賞のポイント②
鉄(Fe)の淵を覗き込む。ここがハイゼンベルクの谷の最深部です。
恒星の中での核融合反はここまでしか進みません。そして太陽質量のおよそ4倍以上の恒星は核融合反応が進まなくなると、自らの重力で崩壊し超新星爆発を起こすんです。
核図表/ハイゼンベルクの谷 鑑賞のポイント③
ウラン(U)を探してみましょう。鉄(Fe)からはとっても離れたところにありますね。
恒星の中での核融合反応は鉄(Fe)までしか進まないのに、どうやってウラン(U)はできたのでしょう?
ハイゼンベルクの谷でのウラン(U)の高さも見てみましょう。
なだらかな斜面になっていますね。
ウラン(U)は核分裂反応によりエネルギーを放出しますが、ウランの回りの谷はなだらかな斜面なので、水素(H)→ヘリウム(He)の急峻な落差(核融合反応)で出てくるエネルギーとは格段の違いがあります。
※核図表(Chart of Nuclides)クリアファイル…理研(和光)一般公開 に書いたことを再掲してます(^_^;
※関連記事:核図表/ハイゼンベルクの谷⇒元素誕生の謎にせまる
●Aa-047 脳科学を支えるニッポンの技術
文部科学省 脳科学研究戦略推進プログラム
▽ショウジョウバエ脳の3D画像
凄い!!(感動のあまり写真撮影がおろそかになり、この1枚しか撮ってない(^^;)
写真を撮ることより、質問してお話を聞きたくて…
どうやってこの画像を撮影したんですか?
ショウジョウバエの脳の大きさは0.5mmほどとのこと。それを何十枚にも薄くスライスして顕微鏡で観察して3D画像に…なんてことできませんよね? Z方向(深さ方向)の撮影ってどうやるんですか?
色々お話は聞きましたが、私がうまく説明することはできないのでキーワードだけ
「共焦点顕微鏡(Confocal microscopy)」
共焦点顕微鏡がどんなものかは、こちらのページで
⇒共焦点顕微鏡の概要 - バイオイメージング|OLYMPUS
こちらのページの「共焦点顕微鏡の結像特性」から引用させていただきます…
『焦点位置だけの情報がピンホールを通過して検出器に到達し、焦点位置以外の光はピンホールでカットされるため、深さ方向(Z方向)に分解能が生じ、光学的断層像を得ることができる。これは通常の顕微鏡では実現できないことである。』 お~スゴい!
このショウジョウバエ脳の3D画像では、入力シナプス、出力シナプス、ドーパミン等が色分けされていたんです。こういうのって蛍光タンパク質でターゲットを標識しているのでしょうけど、例えば「入力シナプス」をどうやって識別するの?
それは~ 入力シナプスにはそこに特異的に存在するタンパク質が知られていて、それに標識するんだって。
でも、そのタンパク質に標識するには、そのタンパク質に結合するタンパク質を探さないといけないのでは?
それは~ 膨大な先人たちの論文があって、このタンパクはこういう形をしているから、それに合いそうなタンパクを、これまた論文の中から探してきて・・・と、先人たちの英知を使って研究を進めているんですって! ん~感動しましたw(*゚o゚*)w
入力シナプス、出力シナプスとか分かると、ニューロンのネットワークがどうなっているのかも分かるんですか?
それはこれからの研究だそうです。
※関連記事:コネクトーム(Connectome)…今日の科学の美の壺
●Aa-118 図形と空間の不思議~敷き詰め模様で遊ぼう!
日本テセレーションデザイン協会
▽変形立方体のウサギさん(24匹)パズル
変形立方体とは⇒ 変形立方体 - Wikipedia
24匹のウサギさんをバラバラにしてしまうと、それをまた組み立てるまで帰れなくなってしまうので(^^; 1匹だけ外してみました~←はめ込んでいるだけかと思ったら、ジョイントがあるんですね。
←裏はこんな風になってる。
ん~!こんなのを実際に作ってしまうなんて、スゴ~い!!
●Fa-503 地上の太陽・核融合エネルギー
日本原子力研究開発機構 那珂核融合研究所/青森研究開発センター/核融合研究開発部門
▽熱伝導率が高いダイヤモンドで氷を切る
手に持っているのは人工ダイヤモンド。
ダイヤモンドは熱伝導率がきわめて高いので、氷に触れただけで氷がふにゃ~と融けて、包丁で肉を切るように氷が切れます(←ちょっと言い過ぎ(^^;)
コレ↑TVで何度か見たことはあるんですが、自分でも体験してみたくて… で、実際にやってみると… お~!面白い~(^o^) この感覚は体験してみないと分かりませんね。
ダイヤモンド以外に熱伝導率の高い金属…10円硬貨(銅)と1円硬貨(アルミ)が置いてありましたが、銅でも意外と早く氷が融けるんですね。
ところで、この人工ダイヤモンドと核融合がどう関係するのかというと~
トカマク型核融合炉は閉じ込めたプラズマを高周波電波で過熱するらしいですが、この高周波電波を炉の中に入射する窓にこの人工ダイヤモンド(300カラット)が使われるそうです。元は円形でしたが割れてしまったので、サイエンスアゴラに登場となったそうです。
あ~久々に核融合炉研究開発の情報に触れたな~って感じ。ところで今後の核融合炉の研究開発はどうなるんでしょう? いただいた資料によりますと…
2019年 JT-60SA ファーストプラズマ(予定)
2020年 ITER ファーストプラズマ(予定)
その後 →原型炉 →実用プラント となるのは、20~30年後のようです。
ん~地上に太陽を灯すのはなかなかに難しいですね~。
※「ダイヤモンド 熱伝導率」で検索していて、面白い情報を見つけました。
⇒金とダイヤモンドではどちらの方が、熱伝導性が高いのですか? - Yahoo!知恵袋
ベストアンサーより引用させていただきます…『また、ダイヤモンドよりも高い熱伝導性を示すものにカーボンナノチューブがありますが、その熱伝導率は3000~5500もあります。』へ~!
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