天才脳の秘密|日経サイエンス ⇒ ヴァーチャル・ガール
日経サイエンス 2013/06 特集:天才脳の秘密 が面白かった。
その中の 天才と変人 解き放たれた知性 という記事に次の様な記述があった…
情報が多すぎると
『認知的脱抑制とは、目前の目標や自らの生存とは直接関係しない情報を無視することができない状態を指す。私たちの脳には、精神的なフィルターが備わっていて、おかげで脳の大半の情報処理を意識せずにすんでいる。脳にはとてつもない量の信号が感覚器官を介して入ってくるので、これらすべてに注意を払っていては訳がわからなくなってしまうだろう。』
あ~!これってヴァーチャル・ガールのあの場面だね~
ヴァーチャル・ガール
エイミー・トムスン著 田中一江訳 早川書房
『…マギーは草の強烈な緑色に圧倒され、木の枝の微妙に入り組んだフラクタルに仰天した。その編み目模様と自分のメモリ構造の類似性には深い興味をそそられたものの、ここでもまたゆっくり考える時間はない。…それでなくてもオーバーロード気味だったマギーのプロセッサはお手上げ状態になり、この新たな洪水を前にして彼女はどうしようもなくなってしまった。
…情報が視覚や運動専門のプロセッサを食いつぶしはじめ、世界がぼやけてきた…』
ここだけ引用しても何のことやら?ですよね。この本の解説からも引用させていただきます。
『マギーのようなAIは(アンドロイド・ボディも含めて)現状では夢物語だという。とはいえ本書は、謝辞にもあるとおり、AIやヴァーチャル・リアリティの最前線を取材して書かれているのだ(作者は学術会議まで聴きにいったらしい)。とくにマギーがはじめて外出したとき、次々と感覚器官から入力されてくる情報に優先処理順位がつけられず、オーバーロードしてしまうという展開には、認知科学でいうフレーム理論がみごとに反映されている。』
この本がハヤカワSF文庫から出たのが1994年。もう20年近く前に読んだのですが、この場面だけ今でも覚えてる。(物語の結末は忘れてしまっていますが(^^;)
ここを読んだとき、「ん~なるほど~!それをプログラミングするのは難しいよね~」と強く印象づけられまして…
で、日経サイエンスの方に戻りますと… 私たち凡人は認知的抑制がちゃんとできてまして、マギーの様なことにはならない。しかし、認知的抑制が効きすぎていて、凡人のままらしい。認知的脱抑制では、普通はフィルターされてしまう情報も処理するから、ときとして天才のひらめきが湧くこともある。ってことらしい。
日経サイエンスのもう一つの記事
既成概念をオフ
サヴァンに学ぶ独創性のヒント でも…
『人間の脳は思考と感覚を常にフィルターにかけて選別している。環境から受けた刺激のうち、意識に上がるのはごく一部だ。以前の学習によって、どの感覚が注意に値するかを素早く判断する「近道」ができあがっている。
そうした先入観を弱め、新しいアイデアを受け入れるオープンな思考を高められないだろうか。』
既成概念をオフにして、ふだん気にもとめないことに意識を向けると、天才とはいわないが、新しいひらめきが湧いてくるかも(^_^)
あ、この記事の中でもう一つ印象に残った一文をメモっておきます。
『問題設定能力は天才に求められるもう1つの重要な要素だ。疑問を持つということは新しい事柄を受け入れる傾向の表れだが、先入観によって邪魔されることが多い。』
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