ジル・ボルティ・テイラー「脳卒中を語る」… 私も「脳梗塞を語る」
またまた古いネタですが、4/23に放送されたNHKスーパープレゼンテーション ジル・ボルティ・テイラー「脳卒中を語る」←ページが無くなってるので、本家TEDのページ⇒ジル・ボルト・テイラーのパワフルな洞察の発作|TED talk
話も面白い(興味深い)のですが、演出が刺激的!!
↓『大脳皮質はこのように完全に2つにわかれています』
↓『本物です』
ジルさんの脳卒中の体験話を聞いていて「あ~そういう体験、私にもある~!」って(^^;
「おい、どういう体験だよ!?」ってツッコミ入れたくなりますよね。
私の場合、脳梗塞。
幸いにも、まだこの世にいますので、記憶があいまいにならないうちに記録しておこう!
…………………………
2006/2/22朝、いつものように出勤。京王線分倍河原駅に電車(各停)が入ってきて、ドアが開く。その時!私の頭がクラッ(@_@; とした。あれ?どうした?! 各停で座席が空いていたので座り込み、即寝る…
新宿駅、終点の喧騒で目覚め、電車を降りる。クラクラする。
体が思うように動かない。なんとか南口改札を出る。
暫くしゃがみ込む。
ん~この調子では職場にたどり着けそうにない。
コーヒーでも飲んで休もう。と、ファストフードでコーヒーをオーダーして、テーブルに持ってきて座ることまではできた。が、コーヒーのコップを掴めない。倒す。ファストフードのコーヒーだから、紙コップに蓋がしてあるので、ドバッ~とこぼれることはなかった。店員の女の子が「代わりをお持ちします」と、代わりを持ってきてくれた。私の不注意なのに申し訳ない。
コーヒーを飲み終わっても、体調が上向いた気配はない。
今日は休もう。と決めて、また、なんとか京王線(準特急)に乗る。
朝の新宿発下り電車だから、準特急でもすいてる。座る。即寝込む…
…鉄橋を渡る音で目覚める。あ~乗り越した。分倍河原を通り過ぎて、次は聖蹟桜ヶ丘だ~
聖蹟桜ヶ丘で降り、反対側のホームまで移動して、分倍河原まで戻らなきゃ。体調はさらに悪化している…
ここで気がついた。あれ!?世界が2つ見えるゾ!!
左目と右目の画像が一つに合成されていないんだ~!!
すご~く歩きにくい。片目を閉じると、目に映るものが一つになるので、視覚での認識が楽になる。だから片目を閉じて歩く。しかし、真っ直ぐ歩いてないゾ!?フラフラしてる。
反対側のホームに行くために上りエスカレータに乗る。
鞄を持っているのも重いので、エスカレータの前の段に置く。
そのままエスカレーターの手すりに掴まって、意識が遠のく…
…なんとかエスカレータから降り、ホームを歩いていると、後ろから「鞄を忘れてますよ~」と。かなりフラフラ、かなりヤバイ私。
電車に乗る。座る。が、ここで寝てしまうと、また新宿まで行ってしまいそうだったので、「寝ちゃダメだ。寝ちゃダメだ!…」と繰り返す(^^; なんとか分倍河原の駅で降りた。
駅から家までどうやって帰る? 自転車、無理無理。この体調ではタクシーで帰ろう。タクシー乗り場にタクシーが一台もいない。待つ。立って待てないから、横断歩道橋の柱の根元のコンクリートの台座に座って待つ。座っていると、体が勝手に傾いて倒れそうになる。真っ直ぐに立て直す。また傾く。え~!なんで体が傾いちゃうの?平衡感覚もおかしくなってるよ~
やっとタクシーが来た。行き先を告げ、体調が悪いことを話すと、タクシーの運転手が「相当飲んでいらっしゃるのかと思いましたよ」だって(^^; あ、でもタクシー降りてからマンションのエントランスまでエスコートしてくれましたよ(^_^)
やっと家に帰り着いた。2人の息子が朝/昼飯を食べていた。
私もお腹がすいていた。なんか食べてから寝よう。と、ここからがまた大変だった…
茶碗が持てないのだ!
いつも茶碗を持つことなんて無意識のうちにやっている。
茶碗を見て、そこに手を伸ばせばいいのだ。
だが、私の視覚はおかしくなっている。手を伸ばしたところに茶碗はなく、あれ?と手を動かすと茶碗がひっくり返る。
ん~やり直し。片目を閉じて画像を一つにする。左手を前に出して、茶碗よりは左側に下ろして、茶碗に触れるまで左手を右に動かし、茶碗に触れたら掴む。ふ~やっと茶碗を持つことができた。ロボットをリモコンで操縦してるような、あるいはUFOキャッチャーを操作しているような感覚(^^; 効率悪すぎて、そりゃ困る~
視覚と運動神経の連携ができなくなってるよ~ 部屋の中を歩いていて、ハデにすっ転び、コタツのテーブルの角にぶつかって足を擦りむくし~
この時点で「すご~く疲労が溜まっていたのかな?」ぐらいに思っていた私は、とにかく寝る。
翌朝まで寝た。
翌朝。スッキリ。左右の目の画像が合成できなかった症状はなくなり、ちゃんと一つに見えた。
でも、昨日の症状が余りにも異常だったので、念のため病院に行って診察してもらおう。
家から比較的近い府中恵仁会病院に行く。昨日、自転車を置きっぱなしにした駐輪場まで歩き、後は自転車で病院へ。
何科で診察してもらえばいいんだ? 昨日は目がおかしかったので眼科で診察。症状を話すと、「念のため脳神経外科でCT撮ってみましょう」と。私もそれがイイと思った。
CTのドーナツから出て、暫く横になったままで待たされる。
そして…「脳梗塞なので、このまま入院してください。」 え~~!!脳梗塞だったんですか~!
CTから出て、横になったままストレッチャーに移され、そのまま病室のベッドへ。脳を(物理的に)動かさず、安静に、安静に。脳血管が詰まっているところの詰まりを大きくしないようにということらしい。
「脳梗塞です」と告げられたとき「CT画像で視床下部に影があります」と言われた。
その時の私の脳内思考→「あ~視床下部の近くには視交叉があるよね。そのあたりが障害を受けると、左右の視覚情報が正しく振り分けられなくなって、それで左右の視覚が合成できなくなったのね。なるほど~」
「脳梗塞です」と告げられて真っ青になるんじゃなく、「CT画像で視床下部に影があります」で、そうか!なるほど~と思ってるあたりが私らしい(^^;
いや、昨日の症状が続いていれば、そりゃ真っ青になっていたでしょうが、一晩寝たらスッキリだったもので… でも、それから2週間の入院生活が続くのでした(>_<) 気分的には健常人なので、ビールが飲めない日々がつらかった~(^^;
この体験で一番感じたことは「脳のほんの一部が障害を受けただけで、あんなことになっちゃうのね!」ってことでした。
私の場合、障害を受けた部位が視交叉に近く、左右の視覚が合成できず「世界が2つに見える」という驚きの体験をしたので、以来、視覚や視交叉に関心を持っている。
それで→「nepia鼻セレブのうさぎさん→視交叉はどうなってるの?」とか気になる。
なんといっても、左側/右側の視覚情報が右脳/左脳に振り分けられて処理されるのに、私たちはそれを一つの世界として認識しているのが一番不思議~!
それより「なぜ私が脳梗塞になったのか?」それが一番の謎なのだが…
ちなみに、私はメタボじゃないし、生活習慣病もありません。血圧も H:100 L:60 と低め。
私が脳梗塞になった「可能性として考えられること」が2009年に浮かび上がって来た~。その話も科学的に面白いのですが、その話を書くと長くなるので、そのうち・・・
※2015/02/21追記
私の経験した「ものが二つに見える」症状は『複視』というらしい。
⇒物が二重に見えます(複視)|心配な病気の症状/脳神経外科 山本クリニック 大阪市住吉区 こちらで「複視を起こす原因」として出ていた一つが…『脳梗塞や脳出血などの脳卒中、特に脳幹部というところの小さな脳梗塞』←お~私のはまさにこれだ!
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