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2012年7月 8日 (日)

パルテノン神殿に黄金比はない!

名刺のサイズは黄金比… ではない!」 と
オウムガイの螺旋に黄金比… はなかった~!」 ときたので、
パルテノン神殿に黄金比はない!」という話も書いておこう。

名刺とオウムガイは、知ってビックリ~!だったのですが、パルテノン神殿のことは子供のころから知っていた。
「パルテノン神殿の美しさは黄金比だから」という話を子供の頃(ん十年も前(^^;)に聞いて…
黄金比の長方形↓
Golden Retio
パルテノン神殿↓
Parthenon
パルテノン神殿のどこに黄金比があるの?
(子供の)私に見える長方形は↓
Parthenon Rectangle
黄金比の長方形とは全然ちがう横長な長方形なんですけど~
いったいどこが黄金比?
パルテノン神殿の黄金比はコレ↓
Parthenon Golden Retio
え~~!!普通そんな風に見ないでしょ!こじつけだよ~
と子供心に思っていたのですが、その後読んだ黄金比の説明には必ずパルテノン神殿が出てくる。おかしい!
Wikipediaの「黄金比」にもパルテノン神殿は出てくる。(お約束ですから(^^;)

しかし、数年前ついに「パルテノン神殿 … Φは見られない」と書かれた本を見つけました~!(あ、Φは黄金比の記号ね)
Book 『聖なる幾何学』
ちょっと引用させていただきます…
『多くの本が判で押したように、パルテノンの寸法の美しさはΦを用いているからだと述べている。まるでそれが本当のことのようだが、残念ながらそれは違う。この「事実」は、書いている本人が依拠する寸法を上げることさえしないで断言されていることも多い。』
で、この本ではパルテノン神殿に黄金比はないと言うだけではなく、ではどのような比がパルテノン神殿にあるのかを考察している。
『9という数字が、建物全体にわたって姿を見せること、…
…以上、パルテノンの聖なる幾何学の鍵は9であり、Φではない。』

パルテノン神殿の9の秘密を知りたい方は『聖なる幾何学』をどうぞ。
この本、おかしな神秘数学の本ではなく、ちゃんと幾何学してますから(^o^)

※考えてみれば、ギリシャ時代の建築家が無理数Φを基に設計をしていたというのはおかしな話で、整数比を基に建物を設計していたというのは納得できる話だ。


※2013/11/14追記
黄金比Φは無理数です。
パルテノン神殿『紀元前447年に建設が始まり、紀元前438年に完工』が建設された時代の数学者といえば~ピタゴラス『紀元前582年 - 紀元前496年』でしょう。みなさんも「ピタゴラスの定理」でおなじみですね。
ピタゴラスさんは数学者、哲学者ですが、「ピタゴラス教団」の教祖様だったのです。
ピタゴラス教団の教えは『万物は数である』←お~!なんと深遠な教えでしょう(*゚o゚*)
で、ここでいう「数」とは「有理数」です。
万物は数(有理数)ですから、無理数なんて存在しないのです。あってはならないのです。

みなさん √2(ルート2,2の平方根)はご存じですね。√2は無理数です。
そして、ピタゴラスの弟子のヒッパサスが√2が無理数であることを発見してしまい…
2の平方根 - Wikipedia によりますと…『ところがピタゴラスは(有理)数の絶対性を信じていたため無理数の存在を受け入れることができなかった。ピタゴラスは論理的に無理数の非存在を示すことはできなかったが、その信念から無理数の存在を受け入れることができず、ヒッパサスを溺死の刑に処したとされている。』
…というような時代に、無理数Φを使って神殿を建築したでしょうか?

え~数学から離れまして、パルテノン神殿を建てたのは建築家・大工・石工ですよね。建築における寸法は「モジュール」が基本です。⇒モジュールとは【住宅建築用語】
モジュールを基本寸法として建築するというのは、紀元前の昔から現代まで建築の基本だと思います。で、モジュールを基本に設計すれば、そこに出てくる数値はモジュールの整数比または分数(有理数)です。無理数なんて出てきません。
あ、対角線には√2などの無理数が現れますが、縦・横は整数比です。
例えば屋根は斜めですが、作るときは縦・横の整数比です。
『屋根勾配(やねこうばい)』 - 池田住宅建設

パルテノン神殿が建設された頃の時代背景と、現在でも建築は整数比が基本ということを考えると、パルテノン神殿の設計者が黄金比Φ(無理数)を使っていたとは考えられませんよね。


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サイエンス」カテゴリの記事

コメント

黄金比を考えて設計したのではなく、美しくなるように設計したらたまたま黄金比に近づいた、ということは考えられませんでしょうか?
黄金比が本当に美しいのかどうかの真偽は(到底決定できそうにないので)おいといて、もし本当に黄金比が美しいのだとしたら、設計が黄金比に近づくこともあるのかなぁという感じに思いました。

また、パルテノン神殿の幅と高さに関しては、現状のパルテノン神殿が若干壊れてることでより疑心が深まっているように覚えました。
アメリカに一応昔を模したレプリカがあるようです(これが正しいものなのかどうか分かりませんが、万博用に建てられたようなのである程度の信頼はおけるのかなぁ、どうなのかなぁという感じです)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%AB%E3%83%86%E3%83%8E%E3%83%B3%E7%A5%9E%E6%AE%BF_(%E3%83%8A%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%93%E3%83%AB)

とはいえいくつかの論文で指摘されているように、壊れた部分の予測が不完全であり、またいくつかの測定では黄金比になっていないという報告もあるようですね。
http://www.math.nus.edu.sg/aslaksen/teaching/maa/markowsky.pdf

僕が昔見た記事だと柱の長さとどこかの部分の比について言及していたものがあったような気がしたのですが、今の所その記事を再発掘できていません(汗)

私はパルテノン神殿を美しいと思います。なぜ美しいと思うのか? それは正面から見たときの縦横比が(崩れてしまって今はない屋根の棟/妻を無理やり思い描き)それが黄金比だから美しい~とは思いません。
「パルテノン神殿」または「Parthenon」で画像検索してみて下さい。そこに出てくる画像は正面からのものは少なく、斜め下からパルテノン神殿を見上げたものが多数です。私はこの角度から見たパルテノン神殿を美しい~!と思いますし、このアングルの画像が多いということは、多くの人達がこのアングルのパルテノン神殿を美しいと感じたからだと思います。(正面から見たパルテノン神殿ではなく)

> 美しくなるように設計したらたまたま黄金比に近づいた
のかもしれませんが、画像検索結果を見て推測できますように、多くの人は「黄金比だから美しい」とされるパルテノン神殿の正面にはさほど「美しさ」を感じておらず、斜め下から仰ぎ見たパルテノン神殿に美しさを感じていると思います。

私がこの記事を書いたのは「黄金比だから美しい」と言われている「名刺」や「オウムガイ」は黄金比ではなかった~!という事実を知って驚きだったのと、世の中に「~と言われている」ガセネタ蘊蓄が多いことに驚いたからです。
で、調べていて私が不思議に思ったことは…人はなぜ「黄金比だから美しい」という説明を鵜呑みにしてしまうのか? 定規を当てて1:Φ(1.618…)の比率になっているか調べて見れば、簡単にそうではないということが解るのに、それをしないで「へ~なるほど~」と鵜呑みにしてしまう。
これはどうも幾何学/数学/建築/美術の問題ではなく「心理学」の問題のようです。
参考までに、こちらの記事をどうぞ…
→理科の探検(RikaTan)2014年春号は『特集 ニセ科学を斬る!』
http://polyhedra.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/rikatan2014-dad.html
また、心理学,権威付け,黄金比などのキーワードで検索したら、こちらのページを見つけました。参考までに…
→黄金比という欺瞞 | lunarl0gue
http://lunarl0gue.blogspot.jp/2013/07/blog-post_28.html

すいません言葉足らずでした。

僕は、以下のようには思って"いません"
・パルテノン神殿は間違いなく黄金比を使って建てられたのだ
・黄金比は万人にとって美しい
・美しくなるように設計したら必ず黄金比になる
・パルテノン神殿を美しいと思う人は必ず壊れた部分まで想像して黄金比を思い浮かべた上で美しさを感じている

まず主張したいのは「黄金比は無理数だから古代ギリシャではありえない」という主張はあまり通らないのではないか、ということです。
たとえば、ある線分をa:bに内分することを考えたとき、a:b = (a+b):aとなるように調節するとa:bは黄金比となります。ここに無理数の概念は必要ではありません。
つまり、直接φの値を意識して設計したのではなく、"たまたま"無理数が出てきただけだ、という可能性はあるのではないか、ということです。
美しいものを作ったら必ず黄金比に近づくと考えているわけでは決してありません。

つまり「パルテノン神殿は黄金比を使って設計されていた!」と同じ位、「パルテノン神殿は黄金比を使って設計されていなかった!」も疑いのある断言なのではないかと思うわけです。
正直パルテノン神殿ほどの大きな建物におけるこの程度の誤差の上なら、黄金比が使われていようと使われていまいと黄金比を発見することは容易(1:1.6になってる所を探すだけなのですぐ見つかってしまうでしょうね 汗)でしょうから、せいぜい「パルテノン神殿には黄金比があるかもしれない」「ないかもしれない」位の主張までしかできないのではないのかなぁというのが私見です。

お言葉を返すようで何ですが、「現代の大勢の人が美しいと感じる見方は斜め下方向から見上げる形だと推測されるので黄金比を使って設計したことはありえない」のような考え方にもいくつか問題点があると思います。
1つに、単純に立地の問題なのではないか? ということ。
あるいは、正面からのみの写真だと奥まで映らないから(正面に対して斜めであるだけでなく)透視図的に奥まで写るような構図が採用されやすいのではないか?
また、透視図の考え方が普及したのは少し時代が下ってからなので、古代ギリシャの人たちの考える美とわたしたちの考える美が一致するとは限らないとも思います。
ただし、繰り返しますが僕は別に「黄金比が一番美しい」だとも「美しい構図を求めたら必ず黄金比になる」だとも思っていません。あくまでこの主張だと欠陥がある、と言いたかっただけです。

人から聞いただけでパルテノン神殿における黄金比の存在を鵜呑みにすることは悪だと、僕も思います。
しかし、黄金比の存在の否定を断言することもそう簡単ではないのではないでしょうか。


ところで話は変わりますが、引用されているその「黄金比という欺瞞」というページ、とても面白いですね!
黄金比にまつわる建築学的な歴史がとても簡単に概観されていて、なおかつ何故黄金比の存在をそう簡単に断言することができないか詳細に述べられていて、とても論理的だと思います。
美しさと黄金比が循環論法になっているという話は僕も考えていたことだったのですが、ここまで簡潔にまとめ上げることができたのかと、正直驚いています。
お教えいただきどうもありがとうございました!

「パルテノン神殿に黄金比が使われている」という主張は現実的に反証可能性が無いに等しく、反証主義的に科学的ではない主張であり、これはその意味でエセ科学だ、という意見には、反駁の余地が無いように思います(^^;

> 黄金比の存在の否定を断言することもそう簡単ではないのではないでしょうか。
はい、そうですね。
私がこの記事を書いたのは…
世の中に「美しさの秘密は黄金比!」という蘊蓄が溢れており、そこには「美しいとされる」という人から聞いた話を鵜呑みにしているものが多数です。そして、黄金比を知らない人が、パルテノン神殿、ミロのビーナス、オウムガイの螺旋、名刺のサイズ、アップルのロゴ…等々を調べたとき、そこに出てくる「美しさの秘密は黄金比」という説明を読んで「へ~!」となり、それをまたブログやTwitterに書いたりして… 黄金比のガセネタ蘊蓄が拡大再生産されていきます。この状況を少しでも阻止するには「○○に黄金比はない!」と黄金比の存在を否定したページを書いておかなくては… と書いた次第です。
黄金比説肯定ページ数に対し、黄金比説否定ページ数はまだまだ少ないですが…
黄金比説否定ページも読むことで、美しいものには黄金比が隠されているのか?いないのか?を(鵜呑みにするのではなく)検証してみようと考える人が増えてくれれば…と思っています。

はじめまして。

私が見つけた、パルテノン神殿の黄金比を否定する唯一の投稿でした。次の私の投稿の参考させて頂きました。

「黄金比信仰?」
http://rindalog.blogspot.jp/2014/12/blog-post_30.html

ありがとうございます。

「パルテノン神殿の黄金比は後付け」というのが私の意見です。「何でもかんでも黄金比」は否定したいです。

興味深い投稿をありがとうございました。

rinndajonesさん
この記事を適切に引用していただき、ありがとうございました。
言われてみれば…『オウムガイの黄金比を否定する記事は多く見つけたが、あの「パルテノン神殿」の黄金比を否定する記事は「正多面体クラブ」だけ。』なのか~!?
「パルテノン神殿 黄金比」で検索して出てくるページタイトルをチェックしてみると、100ページ中で否定しているのはこのページだけですね。3ページが疑問形で、残り96ページは肯定系ですね。しかも、その内の2ページは高校のページだった。

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